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銀ノ魂篇/副産物 ページ11

晋助が船に辿り着くと、「大丈夫ですか!!」と声をかけながら男達が彼に駆け寄る。それを手で制すと、先に来ていたAの差し出してきたタオルで髪を拭いた。


「お兄大丈夫?」

「ああ。すまねェ、待たせちまったな」


その言葉はこの船の持ち主である男達に言ったものだ。「英雄 高杉晋助の力添えができるなら」と、待たされた事は全く気にしていない様子で応える。

それからリーダーの男が船を出す指示を部下にしたのを、「待ってくれ」と晋助が止めた。
立ち上がると街の方を見て、「ヘッ」と笑う。


「来るワケねェか」


どこか期待していたらしいと、その時になって自分で気づく。「未練タラタラなのはあっちじゃなくてお前の方か」という銀時の言葉も、あながち間違いではなかったようだ。悔しながら。


「コイツが今生の別れか。武市、また子、すまねェ」


呟いたその時、後ろからビチャッと水が滴る音がした。

Aじゃない。彼女は自分より先に着いていたから、さっき見た感じ滴る程濡れていなかった。何より今、自分の横に居る。どこか嬉しそうな顔をしながら。
という事は、と驚いた目で晋助は後ろを見る。


「返せ」


銀時は、そう左手を晋助に出した。


「どうやってここまで来たの?」

「決まってんだろ」


川を見ろ、という様に顎をやる。

Aと晋助が見た先、そこには死体が沢山浮かんでいた。まるで橋の様に、船までの道を作って。


「泳げねェなら、歩いてくるだけだ」


至極当たり前の事を述べる口調の銀時に、Aは苦笑いした。

一方晋助は、「クックックッ」と笑う。


「こいつぁ、俺よりよっぽど修羅道を歩んできたようじゃねェか。いや、こんな物騒なもん持ち歩くなら、それくらいの覚悟は必要か」


晋助は銀時に何かを放る。それは、さっき川の中で彼が銀時から取ったものだった。


「改めてきくが、どこでそいつを手に入れた」

「……俺が探してたのは、元々別のもんだ。2年間国中をさまよい続けたが、そいつは見つからなかった。元々存在するかどうかも解らねェ代物だったからな。だが俺には、根拠はねェが確信があった。必ずそれはどこかにある。ならば誰より先んじてこれを見つけなきゃならねェと。コイツはその過程で見つけた副産物さ」


銀時はその包みを開く。


「老舗和菓子屋圓七の名物、あんころ餅」

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なのは(プロフ) - 更新しないですか?楽しみです!(>_<) (4月23日 0時) (レス) id: d007c1ae64 (このIDを非表示/違反報告)
いな - 面白かったです!最初から一気に読みました!これからの展開が楽しみです!! (2023年2月4日 10時) (レス) id: 200a1f85db (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 続きが気になって目が乾燥帯になってます、続きとかは、もう出ないんですか? (2022年8月9日 10時) (レス) id: c4efed8c6d (このIDを非表示/違反報告)
- 続きはもう出ないんですか?気になって夜しか寝れません (2022年8月8日 22時) (レス) id: 79fd85110e (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - わかさん» ありがとうございます、候補に加えさせていただきます (2021年8月31日 20時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2021年2月13日 0時

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