銀ノ魂篇/星の軌跡も見えぬ夜 ページ9
夜になった。
敗走してきた解放軍をある程度まで追撃した後、懲りもせずかぶき町のお妙の元へ向かい顔に蹴りをくらっている近藤さんを見て、苦笑いが浮かぶ。
「なんだ、オイ。世界が終わりそうな今ならイケる気がするとか言ってたのに、いつもと変わらねェじゃねェか。何もかも」
「何言ってるの、トシ」
「近藤さんはアレがほしかったんですよ。いつものアレがいいんだ」
大分ボロボロになっているけれど、かぶき町も大丈夫そうだ。近藤さんに掴みかかっている新八の様子からして、多分銀ちゃんや神楽も。
「世界が終わりそうな時に今頃お帰りですか、お巡りさんも相変わらずですね。Aさんをあんまり連れ回さないであげて下さい」
「生憎お巡りさんには世界を救う義務はねェが色々忙しいんだ。Aも一員だからな」
お妙にトシが返すと、「そういう事」と聞き慣れた声が上から降ってきた。
「世界の方はしらないけど、どうやら帰る場所くらいは護れたみたいじゃない」
長い藤色の髪を靡かせたさっちゃんがそう言って地面に着地する。隣には全蔵さんも居て、この2人も無事だった事にホッとした。
「ただいまもおかえりもない、無愛想な街だけど」
「……おかえりはないけど、違うものならきけるかもしれませんよ」
お妙はそう笑って、手に持ってる…………え、アレ何。気持ち悪いんですけど……え?
「みんなおつかれさま」
「アネゴ、それ違う」
神楽ちゃんアレ何ですか!?
平賀源外の
星の無い夜空には、地球で起こっている事なんかに知らん顔をしているいつも通りの満月が我が物顔で居た。
「……こうして改めて見ると、ものスゴイメンツだね。これだけの人が一緒に戦ってくれただなんて」
新八がそう言うのにも頷けるくらい凄い人数が居る。そりゃ解放軍には及ばないけれど、当初の見積もりよりも大分多い。
ここには荼吉尼や辰羅も来たらしいのに皆が無事なのも、この助っ人達のお陰だろう。
「つまり何だい」
そう声を発したのはお登勢さんだった。後ろには西郷特盛や泥水次郎長……つまり、かぶき町四天王が揃っていた。
「解放軍が今日明日急に報復に来る事はないと。この街はしばらく安全だってのかい」
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年10月19日 19時