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銀ノ魂篇/火で火は燃やせない ページ34

「圓翔ォォォォォ!!」


瓦礫の陰に隠れていた紫雀が、怒鳴りながら立ち上がる。


「この期に及んでまだ戦いを止めぬというのか! 全てを焼き尽くさねば復讐は終わらぬと……それで一体何が残る!!」

「……戦いの終わり。それを決めるのは我々ではない」


圓翔はしゃがむと、落ちていたペンダントを拾いまた立ち上がる。それを大事そうに握りしめた。


「我等は死した者達のため戦う。その魂が浄化されるまで。そしてそなたらは、生きる者達のため戦う。その命が尽きるまで。ただ、それだけではないか」

「そんな……事を」


紫雀は槍を掴む手に力を込めると、それを構えながら怒りの表情で叫ぶ。


「死んでいった仲間が、貴様の妻が、願っていると思うかっ!!」


ドカァァン!!

紫雀の目の前で爆発が起きた。他の所でも、2ヶ所。
解放軍は武器を構え、指令部を出て行く。


「少なくとも、これから死にゆくお前達の願いは解るさ」


圓翔は左右の手に持った剣から、また光の玉を出す。


「この船がそなた等を地球に送ろう。故郷に帰るがいい」

「圓翔ォォォォォォ!!」


圓翔は光の玉を後ろに向け放つと、部下達の後から指令部を出ていく。彼の背後で爆発が起こった。


「既に船は地球に向かっている。総員に伝えよ。一刻も早く本船から脱出せよと」


___その時、背後に気配を感じた。


「やれるものならやってみろ」

「火は、ここにも燃えているぞ」


桂小太郎と坂本辰馬が、黒煙を抜け圓翔に攻撃しようとする。だが圓翔は、光の剣で2人を貫いた。


「火で火は消せぬ。それしきの怒りで、この怒りはかき消せぬ」


小太郎と坂本は天井に背中を押しつけられる。瓦礫が音を立て落ちていく。

それに遅れて廊下に落ちていく2人の背中スレスレを、圓翔の剣から出る光が通った。


「私が憎いか。仲間を、愛する者を奪った私が。私もだ。愛する者も憎むべき者も全て失った私は、自らを憎むしかない」


廊下に着地した2人に向け、光の剣を振り下ろす。


「自らを燃やし続けるしかないのだ!!」


2人は左右に跳んで避け、坂本は倒れながら引き金を引いた。しかし弾丸は圓翔の身体には当たらず、代わりに光の玉の攻撃を受ける。

小太郎が跳んで上から圓翔に刀を振り下ろした。圓翔はそれを光の剣で受け止めたが、払われて右手の剣を落としてしまう。小太郎が首目掛けて刀を振るが、左の剣で受け止められた。刀にヒビが入り、砕ける。

そして小太郎も廊下に倒れた。

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作者名:ゆず | 作成日時:2020年10月19日 19時

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