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銀ノ魂篇/硝煙の皇子 ページ33

弾丸は真っ直ぐと向かっていった。坂本へ。
ドン!! と音がした。


「坂もっ……」


小太郎の言葉が途中で途切れる。

衝撃で、ヒラリと編笠が(・・・)宙を舞う。


「まずは我が妻を2度殺した報いをと思ったが……貴様も女に救われたか」


光が貫いているのは坂本ではなく、彼を庇った陸奥だった。

彼女は辛そうに笑うと、坂本を強い力で押した。彼が陸奥から離れた途端、また光が彼女を襲う。


「陸奥ぅぅぅぅぅ!!」


すぐさま坂本や小太郎の部下も銃で反撃するが、その瞳は見開かれる事となる。圓翔が全ての弾丸を光の剣で弾いていた。

彼は剣を上段に構えると、振り下ろす。光の玉によって次々と倒れていく。


「伏せろォォォ!!」


小太郎が指示を出し、瓦礫の陰に隠れる。光の玉が絶えず襲ってくる中、エリザベスと目を合わせた。

2人同時に瓦礫の陰を飛び出すと、圓翔に向け刀を振り下ろす。2つの剣で受け止められた。


「先に伝えておくべきだったな。たとえ解放軍を壊滅させても、この戦は終わらない」


圓翔は言いながら剣を振るう。小太郎もエリザベスもそれへの対処で精一杯で、攻撃を繰り出せない。


「この私が在る限り、そなた等は滅びを免れぬ」


圓翔は剣を下に向けたまま飛び上がる。空中から下の小太郎へと、2つの剣を操り攻撃する。

小太郎が体勢を崩しエリザベスにぶつかった時、目の前には無数の光の玉。


「硝煙の皇子は一兵をもってして、一万の兵の武力(ちから)を有する」


小太郎は拳を握りしめた。彼の目の前で、彼を庇ったエリザベスが後ろに倒れた。


「貴様らを片づけるなど、造作もない事だ」


動かない小太郎に、圓翔は目を真っ直ぐ向ける。また2つの剣から光を出した。


「そなたらの仲間の犠牲は無駄であった。火之迦具土神の火は、まだ消えてはいない。その力、地球に向け解き放つ事は叶わなかったが、火は未だ天鳥船に宿り燃え続けている。ならばその火、この船ごとぶつけてやればよい」

「お……皇子。ま……まさか!!」


圓翔の言葉に、解放軍の1人が動揺した声を上げた。


「天鳥船を地球に落とす。残った力を船ごとぶつければ、まだ地球を破壊する事も可能なはず」

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作者名:ゆず | 作成日時:2020年10月19日 19時

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