銀ノ魂篇/或る夜の星の渡り ページ23
ドドォン、と機体に走った衝撃に、小太郎は顔を強張らせた。
「何事だ!!」
「ひっ……被弾しました!!」
「レーダーにすら映らないステルス艦が!? 何故狙われている!!」
あくまで隠密で行動する予定だったのだ。それが、敵にバレている。
「まさかっ……!! 敵母艦には我等のステルス機能さえ凌駕する索敵機能が!!」
それしか考えられなかった。
だがだからと言って、作戦を止めるワケにはいかない。冗談抜きで世界が滅ぶ。
「ぐっ!! ここまできたら強行突破しかない!! ひるむな、つっ込めェェェ!!」
「急げ、こっちだ!!」
皆の先頭を走る紫雀がそう叫ぶ。しかしその爪先スレスレの地面に銃弾が落ち、彼は足を止めた。
顔を上げれば、見えるのは解放軍の群れ。
「チッ、既に敵の手が回って…………退けェェ!!」
勝ち目が無いと踏んだ紫雀は、坂本達にそう指示を出す。それに従い別の扉を目指した喜々だが、その鼻先で扉が閉まった。
ガシン、ガシンと、1つずつ他の扉も閉まっていく。
そうしている内に敵もその部屋へ押し寄せ、キリの無い敵に坂本がもどかしそうな声を上げる。
ドゴン、ドォンと、ステルス機能を解いた機体に次々攻撃が来る。
「制御装置破損!! 舵が……ききません!!」
「マズイ、このままでは敵の母艦にすらたどり着けない」
どうしようもない状況で、小太郎に指示を求めるのは当然だった。
「燃えよ。灰になるがいい」
モニター画面に映る坂本達の姿を見ながら、圓翔は言う。しかしその目がすぐに、驚きに見開かれた。
「右舷より攻撃!! あれはっ……あの艦隊は……!!」
宇宙を飛ぶ、沢山の機体が見えた。
突然の援軍に目を瞠る小太郎の身体に衝撃が走る。それは決して攻撃によるものではなく、舵のきかなくなった船を何かが後ろから押して動かしてくれている様な。
『何モタモタしてやがる』
聞き慣れた、低い声だった。
『おいてくぜ、ヅラ』
あまりに聞き慣れていて、すぐには信じられなかった。
ドォン、とまた、天鳥船に攻撃が来る。それによって空いた大穴から、機体が現れた。……小太郎の乗っていた機体だ。
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年10月19日 19時