心にも (ページ17)

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銀ノ魂篇／ヘンゼルとグレーテルページ17

当たり前ながらこの中の誰よりもキツそうな新八が総悟の言葉に眉を顰める。

「もしそうだったとしても、源外さんなら何か手がかりを残してくれてるんじゃないすか」

「手がかりねェ、なるほど」

私は平賀源外の事をよく知らないから分からなかったが、彼はそういうのを残してくれる程度には頭の働く人物なのだろうか。

私が「ふーん」と思っていると、何かに気付いた総悟が足を止めてしゃがみ込む。

「どうやら俺達にも運が転がってきたようだぜ」

「沖田さん、運っていうかそれウ◯コ転がってるだけです」

「おえっ」

コレ犬！？犬だよね！？犬って信じてる！！

「よく見てみなァ」

促されるまま先を見てみると、転がっている汚物は１つだけではなかった。

「ウ……ウ◯コが転々と続いて……」

「コイツぁ源外が俺達に残した手がかりさ。奴は敵に連れ去られながらも自分の居所を俺達に示すために、何も持たないながらもこうして目印をおいていったんだ」

「どんなヘンゼルとグレーテル！？」

そんなツッコミも何のその、総悟は意気揚々と汚物を辿っていく。

いやまぁ、ここまで来たら私達もついてくけどさぁ……。

「コイツをたどれば源外の所へたどりつけるはずでさぁ」

「オイ総悟、それじっちゃんの名にかけれんのか？かけていいんだな？」

「どうせ野良犬のフンか何かだろ」

「それにしちゃ規則立ってませんか」

「ってか、そもそも１人の人間からこんなに出るもん？」

「もしかしたら危険な状態になってるかもしれねェ、急ぎやしょ……」

路地裏へと入った所で、ピタリと皆が言葉と足を止めた。そこに居たのは、桶で何かを洗う黒い隊服の、ズボンを穿いていない男だった。

「久し振りにあの人に会えたから飲みすぎちゃったかな。本当はすかすつもりだったんだ」

彼は哀愁のこもった顔つきで振り返る。案の定、こんな所で絶対に見たくなかった、見慣れた顔だった。

「だけどどんな迷いの森の中だろうと、お前達なら必ず気づいてくれると思ってた。パンツ……買ってきてくれたか」

……まあ、踵を返して走り去ったよね。

「いっけね、野ゴリラだった」

「ああ、野ゴリラだった。あそこに人間はいなかった、解ったなてめぇら」

「いやいいけど、それはそれでアンタらの大将野ゴリラでいいんかい！！」

「新八何言ってるの？あそこに居たのは私達の大将じゃないし」

「事実を抹消してる！！」