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吉原炎上篇/晴れの日に雨傘さす奴には御用心 ページ7

「太陽は、晴天でなければ輝けぬ」




いつの間にか、月詠の目に宿っていた温かい光は消えていた。




「わっちはぬしを死なせるわけにはいかぬ。帰れ。ぬしが死ねば、日輪の今までの辛苦が水泡に帰す」




その時、Aの耳が小さな足音を拾った。


その方向に目を向けて、思わず顔を顰める。


銀時も同じタイミングで気付いたようだった。




「オイ……過分な心遣い痛み入るがね」


「もう手遅れらしいぜ」




その男は、傘をさしていた。


日差しがカンカンに照る真夏でなければ雨も降っていない、というかそもそもこの鉛色の空は何も降らせてこないのに。


神楽のものとよく似た番傘に、嫌な予感が生まれる。




「なんでこんな所に、夜兎族が」


「どうやら、せっかく用意してくれアンタの逃げ道も手が回っていたようだぜ」


「違う」




銀時の言葉を、月詠がキッパリ否定した。




「あれは、鳳仙の回し者じゃない。あれは、」


「そのガキを、こちらによこせ」




夜兎の男が、低い声で言った。


ガキ……つまり、晴太。




Aは男を目一杯睨みつける。


口の中がカラカラに乾く。


冷や汗が滲んでくる。




「ぎ……銀ちゃん。ヤバイアル。アイツ、とびきりヤバイ匂いがするアル。幾多の戦場を生き抜き染みこんできた、血の匂い。本物の、夜兎の匂い」




そう、神楽が言った直後だった。




その男はいきなり晴太目がけて突っ込んでくる。


月詠がクナイを投げても傘で防がれ、隙をついて投げたと思えば歯で受け止められていた。


男は唖然とする月詠の顔を掴むと、思い切り叩きつけた。




それでも月詠が必死でその男をA達に向かわせないようにしている中、銀時の立っていた位置から傘の先が突き出てきた。


Aが吹っ飛ばされた銀時に駆け寄ってから顔を上げると、そこには2人目の夜兎。


ソイツに晴太が捕まってしまった。




「晴太ァァァ!!」




神楽が反射的に走り出す。




「邪魔だ。どいてくれよ」




その背中に、そんな声がかけられた。


聞き覚えのある声だった。




「言ったはずだ」





セピア色の記憶の中、雨の降る空の下涙ぐむ神楽に、振り返る彼。




「弱い奴に」




彼の口は、確かにそう動いていた。




「用はないって」




振り返った神楽の瞳に映るのは、包帯から覗く自分と同じサーモンピンクの髪の毛に、自分と同じ青い瞳。



「……にっ…………」




男が、傘を神楽に振り下ろした。

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ゆず(プロフ) - %さん» ありがとうございます! カッコいい女の子を目指しているので、そう言っていただけて嬉しいです! (2019年12月20日 0時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
- 続編おめでとうございます!夢主ちゃんが男前な感じがして凄くドキドキさせられてます!更新頑張ってください!応援してます! (2019年12月19日 21時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年12月16日 0時

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