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吉原炎上篇/お天道様 ページ12

「すまぬ。わっちがもっと早くに逃がしていれば」




とある建物の中、引き戸にもたれかかりながら、月詠が言った。


戸を挟んだそこで、銀時は彼女に背を向けながら「謝る必要なんてねーよ」と応える。




「元から俺達ゃ逃げるつもりなんざ更々ねーし、今は逃げたくてもA捜さにゃならねェ」




とっくの昔に決心がついていたかの様な声音に、月詠が目を伏せた。




「……いくのか」


「いかなきゃ晴太くんが死にます。もしかしたら、Aさんも」




新八の言葉に、月詠は被せる様に反論する。




「いけばぬしらも死ぬ。夜兎が4人、軍隊1個あっても足りぬぞ」


兄貴(アイツ)は私がなんとかしなきゃいけないネ」




今度は神楽の言葉に、組んでいた腕をほどいた。


言う事を聞かない子供に諭す、母の様な口調で言う。




「誰がためにいく。晴太か、日輪か、それともあの男か」




男? ああ、Aか。そういや男装してたもんな、アイツ。




「……ちょっくら、太陽(おひさん)とり戻しにいってくる」




こんな暗がりに閉じ込められるうちに、みーんな忘れちまった太陽を。


銀時はそう言うと、ゆっくり立ち上がった。




「どんな場所だろうとよ、どんな境遇だろうとよ、太陽(おひさん)はあるんだぜ」




俺の上にだって、あるんだから。




「日輪でもねェ、Aの猫でもねェ、てめーの太陽(おひさん)がよ」




空を見上げた。


鉛色の、紛い物。




「雲に隠れて見えなくなっちまうこともよくあるがよ、それでも空を見上げてりゃ、必ず雲のすき間からツラを出す時がやってくる」




下を向かないで、上を向かないと。


折角出てきても、それが分からないから。




「だからよォ、俺達ゃ、そいつを見失わねーように、空を仰ぎ見ることをやめちゃいけねーんだ」




銀時の目は、鉛色の空(まがいもの)ではなく、その向こうを見ていた。


太陽がきっと今日も昇っている、真っ青な空を。




「背筋しゃんとのばして、お天道様まっすぐ見て生きてかにゃならねーんだ」




その言葉に、月詠は伏せていた目を上げた。


銀時は腰の木刀に手を伸ばす。




「しみったれたツラした連中に言っといてくれ。空を見とけって」

吉原炎上篇/てめーのおひさん→←吉原炎上篇/神威と鳳仙



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ゆず(プロフ) - %さん» ありがとうございます! カッコいい女の子を目指しているので、そう言っていただけて嬉しいです! (2019年12月20日 0時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
- 続編おめでとうございます!夢主ちゃんが男前な感じがして凄くドキドキさせられてます!更新頑張ってください!応援してます! (2019年12月19日 21時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年12月16日 0時

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