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真選組動乱篇/ほしかったもの ページ33

「な……何をしている。君は……今何をしているかわかっているのか。僕は、君を殺そうとした裏切り者……」


「謀反を起こされるは、大将の罪だ」




戸惑いの声を上げる伊東に、近藤が力強く言った。




「無能な大将につけば、兵は命を失う。これを斬るは罪じゃねェ……すまねェ……俺ァ、アンタの上に立つには、足らねェ大将だった」




近藤の足を掴むのは沖田、その足を掴むのは新八、その足を掴むのは神楽とA。


近藤の言葉を聞いて、伊東の瞳が小さく揺れた。




「元々ガラじゃねーんだよ。大将なんて、俺ァ。アンタの方がよっぽど大将に向いてらァ。俺は隊士が死んでいくのを黙って見るなんざできねェよ。死兵なんて割り切ることはできねェ、やっぱり」




まだ自分を隊士だなんて思ってくれているのか。


自分の手を掴んでくれた近藤の手は、酷く温かくて。




「先生、俺ァ……兵隊なんかじゃねェ、ただ肩つき合わせて酒をくみかわす友達として、アンタにいてほしかったんだ」




その眼差しも、酷く暖かくて。


ずっと差し伸べられてこなかった、向けられてこなかったそれに、伊東は瞳を大きく揺らす。




「まだまだアンタにたくさん、色んな事教えてほしかったんだ、先生……」




僕が1人なのは僕のせいじゃない。


僕は何も悪くない。




無能だから、奴等が無能だから……。




僕と奴等は住む世界が違う。


僕は選ばれた人間なんだ。




孤独を受けいれられず、孤独である事を人のせいにした。




人から拒絶される事を恐れ、自分から拒絶した。


傷つくのを恐れ、孤独が好きな芝居をした。


心に壁ができてゆく。




そのくせ、宙ぶらりんになった自己顕示欲だけが日ましに大きくなっていく。


他者に認められたい。認められても、まだ満足できない。


僕はもっとできる。僕はお前らと違う。




思い知らせてやる、僕という存在を。




『お前が求めているのは、自分を認めてくれる理解者なんかじゃねェ』




いつの間にか忘れていた、僕が本当にほしかったもの……。




伊東を引っ張り上げた近藤達に、銃弾の雨が降り注ぐ。




「何してやがる!! さっさと逃げやがれェェェ!!」




土方がヘリコプターのプロペラを叩き斬る。




僕の欲しかったものはもう、とっくの昔にそこにあった。

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(プロフ) - なるほどです!ありがとうございます! (2019年12月17日 18時) (レス) id: d4e761c72f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 哀さん» すみません! 次巻は用意をしただけで、まだ1ページも書けていないんです。でき次第すぐに公開します (2019年12月17日 16時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
アスミ - パスワード教えて欲しいです! (2019年12月17日 15時) (レス) id: 41e9138099 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はじめまして!とても面白かったです!次の作品も読んで見たいのでパスワードを教えて頂けると嬉しいです! (2019年12月16日 16時) (レス) id: d4e761c72f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - %さん» 結構長いのに、2日で読んで下さるなんて…! とても嬉しいです。頑張ります! (2019年12月15日 22時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年11月29日 17時

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