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真選組動乱篇/ありがとよ ページ25

「トシぃ……!」


「うわ、何泣きそうになってんだお前」




後部席を振り返りながらそんな声を出した私に、銀ちゃんが呆れた様に言う。


そんな束の間の安堵の空気を切り裂く様に、冷たい声がした。




「1度折れた(きみ)に、何が護れるというのだ」




線路の上を私達の乗るパトカー目掛けて走ってくるのは、1台のバイクだった。


操縦するのはお兄の船で見かけた青い髪の男、河上万斉。その後ろに伊東が乗っている。




「土方君。君とはどうあっても、決着をつけねばならぬらしい」


「剣ならここにあるぜ」




もうすっかりいつものトシだ。


彼は妖刀を持ち上げる。




「よく斬れる奴がよォ」




重そうな音がしたとは思ったけれど、実際そうだったらしい。


トシが力一杯両手で刀を鞘から抜こうとしても、中々出来ない。




「何モタクサしてやがる。さっさと抜きやがれ」


「だまりやがれ」




前を見ながらいつも通り言う銀ちゃんに、辛そうにしながらいつも通り返す。




「俺はやる、俺は抜く。なせばなる。燃えろォォ、俺の小宇宙(コスモ)、萌えろ……イカンイカン! イカンイカン!」




なんか途中変だったけど自力で元に戻ってくれて良かった。


トシは後ろの窓のガラスを手で突き破ると、そこから出てパトカーに立つ。




「万事屋ァァァァァァァ!!」




トシのその大声に、銀ちゃんは前を向いたまま「なんだ?」と返す。




「きこえたぜェェ、てめーの腐れ説教ォォォ!! 偉そうにベラベラ語りやがってェェ!!」




刀を両手で力一杯掴んで、抜こうとする。




「てめーに一言言っておく!」




歯を食いしばりながら、それでも前を向きながら。




「ありがとよォォォォ!!」




もう2度と聞く事は無いだろう、トシから銀ちゃんへのお礼だった。




「オイオイ、また妖刀に呑まれちまったらしい。トッシーか、トッシーなのか」




本人的にも少し驚いた様で、そんな事を言っている。


そんなワケ無いのに。

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(プロフ) - なるほどです!ありがとうございます! (2019年12月17日 18時) (レス) id: d4e761c72f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 哀さん» すみません! 次巻は用意をしただけで、まだ1ページも書けていないんです。でき次第すぐに公開します (2019年12月17日 16時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
アスミ - パスワード教えて欲しいです! (2019年12月17日 15時) (レス) id: 41e9138099 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はじめまして!とても面白かったです!次の作品も読んで見たいのでパスワードを教えて頂けると嬉しいです! (2019年12月16日 16時) (レス) id: d4e761c72f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - %さん» 結構長いのに、2日で読んで下さるなんて…! とても嬉しいです。頑張ります! (2019年12月15日 22時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年11月29日 17時

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