真選組動乱篇/垢 ページ13
自分へと向けられる刀を静かに見返していた近藤が、突然、ワハハと笑った。
「さすが先生。面白い事を言うな」と、心底楽しそうに、面白そうに。
そこには信じていた者に裏切られたショックは微塵も感じられない。
「俺達が真っ黒に染まった? なる程、俺が白い布だとするならば、確かにそうかもな。だが、俺なんざいいとこ、ちぢれ毛だらけのふんどしってトコかな。白い布に皆がそれぞれの色で思いを描いた御旗? そんな甘っちょろいもんじゃないさ、奴等は。先生の周りにいる連中はしらんが、奴等は違う。奴等は、色なんて呼べる代物じゃねェ」
例えるなら、そう。
「垢だよ。洗っても洗ってもとれねェ、しみついちまった汚れだ」
奴等はきっと、どこまでも付いて来る。
未来なんて分からないのに確信を持って言えるのは、きっと今までがそうだったから。
「しつこくて洗ってもとれねェもんだからしまいには愛着までわいてきやがって、困ったもんだよ。だが汚れも寄せ集まって年季が入るうちに、見れるようになってきてね」
最初は誰が大将をやるんだとかどうとかくだらない事で揉めていたクセに。
「いつのまにやら、立派な御旗になっていやがった」
今じゃ、すっかり警察だ。
「学もねーし、思想もねェ。理屈より感情で動くような連中だ。何を考えてるかわからん、得体のしれない連中だ」
ガララと、近藤達の乗る車両の前後の扉が同時に開かれた。
「先生、あんたの手にゃ負えない」
亜麻色の髪と、1つに結われた黒い髪が、2人の歩調に合わせてサラリと揺れ、止まった。
「奴等は何色にもぬりつぶせないし、何ものにも染まらん」
顔を上げた2人の蘇芳色と黄色の瞳が、鋭く光る。
「沖田君、吉田君。何をやっている? 君達は見張りのはず」
「……が何やってんだ」
「……思うなよ」
地の底を這う様な、低い低い声だった。
「てめーが何やってんだってきいてんだァ、クソヤロー」
「私の大事な人に手ェ出して、無事でいられると思うなよ、性悪ギツネ」
「「手を離せ」」。そう言った2人に、それぞれ隊士が近寄って行く。
「沖田君、伊東先生になんて口を……」
「今すぐ取り消して、」
ドサァッ
血の飛び散る音と人の身体が倒れる音が、2回分。
「「その人から、手を離せっていってんだ」」
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哀(プロフ) - なるほどです!ありがとうございます! (2019年12月17日 18時) (レス) id: d4e761c72f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 哀さん» すみません! 次巻は用意をしただけで、まだ1ページも書けていないんです。でき次第すぐに公開します (2019年12月17日 16時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
アスミ - パスワード教えて欲しいです! (2019年12月17日 15時) (レス) id: 41e9138099 (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - はじめまして!とても面白かったです!次の作品も読んで見たいのでパスワードを教えて頂けると嬉しいです! (2019年12月16日 16時) (レス) id: d4e761c72f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - %さん» 結構長いのに、2日で読んで下さるなんて…! とても嬉しいです。頑張ります! (2019年12月15日 22時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年11月29日 17時