君がため

恩を仇で返す奴が死ぬ程嫌い ページ21

「総悟、A。俺達は幕府に拾われた身だぞ。幕府がなければ今の俺達はない」


「そーだけどさー」




縁側に座って、頬を膨らます。


説教めいた事を言われるのは好きじゃない。




「恩に報い、忠義を尽くすは武士の本領。真選組の剣は幕府を護るためにある」


「だって、海賊とつるんでたかもしれん奴ですぜ。どうものれねーや。ねェ、A、土方さん？」


「ね〜」


「俺はいつもノリノリだよ」




ノリノリなんて、トシから１番程遠い言葉じゃなかろうか。


いつも仏頂面のクセに。




「アレを見なせェ。みんなすっかりやる気なくしちまって。山崎なんかミントンやってますぜ、ミントン」


「山崎ィィィ、てめっ何やってんだコノヤロォォ！！」




総悟によってチクられた山崎は、怒るトシから必死に逃げる。


山崎ってとばっちりいっつも受けるよなぁ。




「総悟、A。あんまりゴチャゴチャ考えるのはやめとけ」




不憫な山崎を眺めていると、近藤さんがまた話し始めた。




「目の前で命狙われてる奴がいたら、いい奴だろーが悪い奴だろーが手ェ差し伸べる。それが人間のあるべき姿ってもんだよ。……あ゛っ！！ ちょっと！勝手に出歩かんでください！！」




ガマを止めるべく走り出した近藤さんを見送りながら、総悟がため息をつきながら言った。




「はあ〜。底無しのお人好しだ、あの人ァ」


「大変そーな生き方してるよね」




ま、私もそのお人好しに救われたクチだけど。


その時の事を思い出して目を細めていると、ドオオオンという銃声が聞こえた。




まさか……！




見ると、丁度近藤さんがガマの盾になって銃弾を受け、倒れたところだった。


慌てて駆け寄って行く。




「近藤さん！！ しっかり」


「フン、猿でも盾代わりにはなったようだな」




！！


反射的に剣に手をやると、その腕をトシに掴まれた。




「やめとけ、お前ら」




トシの左腕は、私と同じように総悟も掴んでいた。




「瞳孔開いてんぞ」

私の大将→←男にはカエルに触れて一人前みたいな訳のわからないルールがある

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