瀬をはやみ (ページ12)

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猫ページ12

「ミャー……ミャー……」

パフェを食べた帰りだった。

外に出ると雨が降っていて、私は傘を持っていなかったから、トシと相合傘をして歩いていた。

途中どこからか聞こえた、か細い鳴き声。

見ると、道の端に置かれた段ボールの中に、１匹の子猫が居た。

雨で濡れて毛がぺちゃんこになっているにしても、少し痩せ過ぎな気がする。

黒い毛は泥が付いていて、かなり汚れていた。

……けど。

その２つの黄色い目には、凛とした光がある気がした。

「……おい」

抱きついていたトシの腕から離れて猫に歩み寄ると、彼は戸惑った様な声を上げる。

その声も汚れるのも気にせずに子猫を抱き上げると、「ミャー」と小さく鳴いたその子は、甘える様に顔を私の胸に擦り付けてきた。

「……トシ」

「あ？」

「この子、飼って良いかな？」

「……近藤さんに訊いてみろ。猫アレルギーは誰も居ねェ筈だ」

急いでトシの傘の中に戻る。

今度は右手だけでトシの腕に抱きついて、帰りの道を歩いた。

☆☆☆☆☆

「おっ？Aちゃんどうしたんだ、その猫」

「あ、近藤さん。私この子飼うね」

「……え？決定？別に構わないけど……え？ちょ、トシィ！！」

「何で勝手に決めてんだ。近藤さんに訊けって言ったろ」

「痛ぁ！！ちょ、何で叩くの！」

「この猫、なんかAに似てますね、姉上」

「そうね。可愛いわ」