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笑顔 ページ3

その男、吉田松陽について行くと、辿り着いたのは『松下村塾』という札の下がった寺子屋だった。


子供の声で賑やかなそこに入って行くと、物珍しそうな視線を感じる。




「先生! その子、誰ですか?」




少女より10個程歳の離れていそうな、お姉さんという言葉がしっくりきそうな、そんな女の子が松陽に質問する。


視線が怖くて思わず後ろに隠れていた少女を、笑って前に出すと、「君達の妹です」。


……その瞬間、幾人かの女の子の目が、キラッと光った気がした。




「先生! 私お世話したいです!」


「私も!」


「私もしたいです!」


「大人気ですね」




そう微笑まれても、困ってしまう。


目線を彷徨わせていると、「そういえば」と、大事な事を思い出したかの様に松陽が声を上げる。




「まだ名前を聞いていませんでしたね。何と言うんですか?」


「…………」




名前……。


物心ついた時から、親が居ない。友達も知り合いも親戚も居ない。


そんな少女にもし名前があるのだとしても、少女はそれを知らなかった。




黙って首を横に振ると、そういった事情を察してくれたのか、少し困ったような顔をした後、何かを考え込んでいる。


やがて答えが出たのか、顔を上げた。




「では名前……A、というのはどうでしょう?」




A。いい響きだ、と思った。


松陽の顔を見て首を大きく縦に振ると、頭を撫でられた。




「やっと笑いましたね」




心底嬉しそうにそう言われて、少女……Aは、驚いた。


笑った自覚など無かったから。


嬉しさや楽しさで無意識のうちに溢れてしまうもの、それが笑顔だと、その時初めて学んだ。

3人組→←その人



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ゆず(プロフ) - 緋澄さん» 1話目ができ次第、公開させていただくつもりです (2019年6月19日 17時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 時雨さん» 申し訳ありません、実は、続編は準備しただけでまだ1話も書いていないんです・・・! (2019年6月19日 17時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
緋澄 - 続編を読みたいのでパスワードを教えて下さい (2019年6月19日 14時) (レス) id: d02144b3e7 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 続編が、読みたいのでパスワードを教えてください。 (2019年6月18日 23時) (レス) id: bfac637d1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年4月5日 20時

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