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一階から二階、二階から三階へと歩を進めていたが、お目当ての職員室どころか人っ子一人見つからない現状に焦り始める。
部活の時間帯とはいえ、校舎にこれだけ人がいないなんてことありえるだろうか?

段々と心細くなりながらも目的を達成するため仕方がなく進んでいく。

三階から四階への階段を上がったところで、その廊下の先にようやく人の姿を見つけることができた。


「――あれ、君こんなところでどうしたの」


俺の足音に気づいたのかその人物はこちらを振り返り柔和な笑みを浮かべつつ近寄ってくる。

この学校はネクタイの色で学年が別れているので、青色のネクタイをした彼は俺の一つ上の二年生ということになる。
すらっとした体型に人の良さそうな笑顔が相まってあまりにも綺麗だ。

狼狽える俺の側まできたその人は「ん?」と俺の返事をただすように首をかしげて見せた。そんな姿さえ様になっている。


「あ、えと、職員室を探してて」

「職員室?ならここじゃなくて本校舎だな」

「本校舎……」

「普通の教室とかがある校舎だよ。ここは西校舎で、生徒会室とか資料保管室とかあんまり普通の生徒には関係ない校舎」


なるほど、通りで人がいないわけだ。
謎が解決しすっきりしたと同時に、それじゃあ何故この人はここの校舎にいたのだろうかという疑問が浮かび上がってくる。

もしかして生徒会の役員?それともただの暇つぶし?はたまた幽霊なんてことも――と、頓珍漢な思考をし始めたところで再度男の人が声をかけてくる。


「もしよかったら本校舎まで案内しようか?」

「っえ、いや、でもご迷惑をかける訳には」

「だってその様子じゃ職員室まで辿り着けないでしょ。気にしないで、俺もどうせ暇してたところだから」


ね、とあの綺麗な顔で微笑みかけられては断るすべもない。


「……それなら、すみません。よろしくお願いします」

「任せて。ああ、俺の名前は桐生 洸太ね。2-Aだから困ったことがあればいつでも来ていいから」


手早く自己紹介まですませた桐生先輩は「じゃあ行こうか」と俺を先導して階段を降りていく。

慌てて俺も自分の名前を告げれば「じゃあ那音って呼ぶね」と言われた。
まだ出会って数分しか経ってないのに名前の呼び捨てか、と思いはしたものの嫌な気はしなかったのでこれといった訂正はいれなかった。

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なつき - 作者さん、どしたん? (2019年8月1日 21時) (レス) id: e36f276856 (このIDを非表示/違反報告)
ペコ - めっちゃハマりました!最新頑張って下さい! (2019年7月18日 0時) (レス) id: d6a2adbe5a (このIDを非表示/違反報告)
さくら - 更新してええええ泣 (2019年7月17日 16時) (レス) id: fdd612b178 (このIDを非表示/違反報告)
あんあんあんこ - けしからん!もっとやれ!(サーセン) (2019年7月14日 22時) (レス) id: 57bf108e06 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 仙椿(せんつばき)さん» コメントありがとうございます!尊いだなんてそんな照れちゃいます( ¯///¯ ) 頑張ります、今後ともよろしくお願いします〜! (2019年6月30日 0時) (レス) id: 4a341f9b26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏蜜柑 | 作成日時:2019年6月8日 22時

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