21話 ※ ページ22
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あれからも彼との交際は順調で今は1週間の半分は彼の家で過ごすようになり、気づけば帰国日は明日に迫っていた。
一緒に過ごせる夜が最後の今夜はディナーを一緒に食べに行く。
夜景の見えるレストラン。
「...美味しかった。ご馳走様です。」
『喜んでもらえたなら良かった。
そうだ、少し早いが半年記念のプレゼントをやる。』
「っえ、私なんにも準備してないのに」
『俺が君に身につけていて欲しくて用意したんだ。
受け取ってくれるか?』
「は、はい」
そう言うと彼はウェイターさんに合図を送る。
合図を受けたウェイターさんは、裏から花束と何やら小さい箱を持ってきた。
彼はそれを受け取ると、バラが6本の花束を先に私に手渡した。
「ありがとうございます。けど枯れない花が欲しい...離れた後に枯れちゃうなんて嫌です」
『そう言わず、受け取ってくれ』
「...はい」
『そして本題のこっちだが』
彼は箱を開けた。中にはシンプルなシルバーのリングが2つ。
「え、これ」
『柄ではないが、ペアリングというものだ。
お揃いのものが欲しいと言っていただろ?』
彼が私を思ってこのデザインを選んでくれたことも、欲しいなんて1、2回言ったことを覚えていることも全部嬉しくて涙が出てきてしまう。
「大事にします。ありがとうシュウさん」
よく見ると中にはお互いの名前入り。
意外と重たいよね、シュウさん。
なんて考えていると
『何か失礼なことを考えていないか?』
なんて、全部見透かされてしまった。
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その日の夜は今までで1番大切にしてくれて、だけれども情熱的で短い夜だった。
朝が来るのはあっという間で、もうすぐ家を出なくてはならない。
お互いの素肌を擦り寄せる。
「いつでも待ってます。会いに来て?」
そう言うと何かを考えこむ彼。
『...君にまだ話していなかったことがあるんだ』
なぜ彼は今になって見たことないほど真剣な顔をするんだろう。
心臓がドクドクとうるさい。当たって欲しくない嫌な予感。
けれどそういう時ほど嫌な予感はよく当たる。
彼から聞いたのは、彼のご家族のことやFBIに入るためにアメリカに来たこと。
「私は、いつまでかかるかわからない、命の保証も無い恋人に会えない状況で何年もあなたを待たなきゃいけないの?」
これが本音だった。
命をかけるなんて言ってる人を、ましてや恋人を応援なんて出来なかった。
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そば粉(プロフ) - ヨザクラさん» ありがとうございます!!これからもソワソワしていただけるように書いていきます!警察学校組登場まであと少しお待ちください! (2022年6月3日 8時) (レス) @page18 id: 16cd9ffa67 (このIDを非表示/違反報告)
ヨザクラ(プロフ) - とても面白いです!続きが気になってソワソワします!全員にフラグ立ってーーー!!!頑張ってください!楽しみにしてます! (2022年6月2日 9時) (レス) @page14 id: f4c5d262a2 (このIDを非表示/違反報告)
そば粉(プロフ) - ひええそんなこと言ってくださる柑橘類様尊すぎませんか(?)ありがとうございます!!そのお言葉がモチベーションになります!!! (2022年5月31日 0時) (レス) id: 16cd9ffa67 (このIDを非表示/違反報告)
*柑橘類*@馬鹿同盟(プロフ) - えっ尊いですね(?) 応援します! (2022年5月29日 19時) (レス) @page6 id: dcab7e85b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そば粉 | 作成日時:2022年5月27日 11時