第3話 ページ4
数週間が経った。私はなんとか彼らのお陰で生きていた。
どうやら私には宝探しの才能も盗みの才能も無いらしい。
例えばクロロなんて凄かった。大きな山から金になるゴミを簡単に見つけ、息をするように食料を盗んでいく。
一方で私は不器用で効率が悪く、貢献できているのか正直分からない。近いうちにお荷物だと言って追い出されるかもしれない。
その不安をどうにか消したくて一生懸命頑張れば、皆は私を仲間として認めてくれたようだった。
そんなダメダメな私でも、初の盗みはなんとか成功した。その時の達成感と安心感と、役に立てた嬉しさは今も覚えている。
しかし罪悪感のようなやりきれない感情も、忘れられない。その感情は心に小さく引っかかったまま取れなくなった。
皆との弾んだ会話を楽しんでも、鬼畜な鬼ごっこで遊んでも、心のもやもやは晴れない。
パンを齧って空腹感を無くしたって、何も変わらない。
何をしても満たされる感覚はなかった。寧ろ不安と怯えが増した気がする。こんな劣悪な環境で生きているだけでも凄いのだと自分を納得させた。
結局、精神的なものから動きがぎこちなくなって、盗みはあれから一度も成功していない。ここ最近はほとんど任されなくなった。
「適材適所ってやつだ」とフランクリンが慰めてくれた。
人の殺し方、戦闘も学んだ。淡々と説明され、小さなナイフを握らされた。
「A、目を瞑っちゃダメよ」
パクが困ったように諭す。ゆっくり目を開ければ目の前には鋭い刃。息の仕方を必死に思い出し、はっと空気を飲み込んだ。
「攻撃に怯まないで。しっかり見て避けなさい。今のAじゃ簡単に殺されてしまうわ」
パクは心配しているみたいだった。他の皆も厳しいけど、それは私に死んで欲しくないからだという気持ちが伝わってきた。
純粋に嬉しかった。しかしこればっかりは、とも思う。
皆とは価値観が違う。
私には、平和な世界で生きてきた前世の記憶がある。盗みにも殺しにも染まれない。
「面白いね」
そんな生活を繰り返していたら、ある日クロロがそう言った。
『なにが…？』
「Aが。…いや、面白いとは少し違うか。変わっている…興味深い？」
なんて言えばいいのか、と悩んでいる。
「まぁいいや」
『う？うん？』
勝手に自己完結された。
結構時間を共にしているはずだが、クロロが何を考えてるかはよく分からなかった。分かるのは、クロロはイメージよりフランクな喋り方をするということだけだった。
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推しの命は私の命 - 番外編だけでも書いてくれ (3月2日 21時) (
レス) id: be6e33eff1 (このIDを非表示/違反報告)
あいす - クロロがドロドロしていて凄い刺さりました,,😭めちゃ面白いです！！応援してます！！！！ (9月29日 13時) (レス) @page28 id: d200d8285a (このIDを非表示/違反報告)
ritsu(プロフ) - 次がすっごく楽しみです!!!頑張ってくださいね! (9月12日 23時) (レス) id: 09c2417c6f (このIDを非表示/違反報告)
みのる - 続きすごい楽しみです！！！待ってます！！！ (9月11日 23時) (レス) @page48 id: b8a09115f0 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - めっちゃ面白いです！続き楽しみにしてます！ (5月3日 12時) (レス) @page48 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナキサ x他1人 | 作成日時：2021年8月27日 15時
