第10話 ページ11
普段なら恐怖で他人の戦闘に乱入するなんてことはしないが、今回は例外だ。
話を聞かぬ2人に腹が立ってきたこと、また、3人の怪我を手当しなければという使命感から恐怖感は薄れていた。
フェイが持っていたナイフは私の左肩に突き刺さり、フィンクスの重い拳が腹へと入り込む。
あ、死ぬ?と思ってももう遅い。思わずその場で蹲る。
3人は唖然として、フェイとフィンクスは攻撃の手を止めた。
「A!?大丈夫!?」
「っ、バカね、なんで入てきたか!」
「同感だ!俺らを止める力もねぇのによ!」
痛い。冷や汗が出るほど痛い。痛いなんてものじゃない。
普段訓練はしていても、そこまでの傷は負わないため、強い痛みにはあまり慣れていなかった。かなり後悔したが、もう攻撃は受けた後なので仕方ない。
『仲間同士のマジギレ禁止!こうなったらどっちが悪いかなんてコイントスで決めればいい!』
痛みの中で声を絞り出して旅団のルールを提案すれば、少し沈黙が流れ、「は?」と3つの音が揃った。
_____
「それでこの怪我ってわけ。はぁ、あいつらは後でボコっておくとして…AもAだよ」
『ぅ、ごめんなさい…でもああしないと止まらなか、』
「言い訳は聞かない」
『うう…』
事情を理解したマチにこってり絞られた。
あの後場は収まり、無事に3人の手当を済ませることが出来た。
手当は私を先に、と言っていたが無視した。最初に話を聞かなかったのはそっちだからと言えばフェイとフィンクスは何も言えなくなっていた。
手当が終わった後は、2人は仕方ないと言いながらどちらが悪かったかをコイントスで決めて納得したようだ。
帰ってきたメンバー達は、私が怪我をしていることに目を丸くしていた。1人での留守番中に何かあったのかと思ったらしい。
状況を説明すれば、フェイとフィンクスはどこかへ連れていかれた。
「悪かたね」、「すまねぇ」と気まずそうに謝るフェイとフィンクスが少し可愛かったので、怪我を負うのも悪くなかったかもしれない。痛かったけど。
「あっはは!Aってたまに大胆なことするよね」
シャルが大笑いしている。あれだけ心配してくれていたのに、どうやら思い出して変な笑いのツボに入ったらしい。
「仲間同士のマジギレ禁止、コイントスで決めようってさ。どう思う、クロロ?」
「へー、それ良いね」
良いねも何も未来の貴方達からパクったんですけどね、とは勿論言えなかった。
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推しの命は私の命 - 番外編だけでも書いてくれ (3月2日 21時) (レス) id: be6e33eff1 (このIDを非表示/違反報告)
あいす - クロロがドロドロしていて凄い刺さりました,,😭めちゃ面白いです!!応援してます!!!! (9月29日 13時) (レス) @page28 id: d200d8285a (このIDを非表示/違反報告)
ritsu(プロフ) - 次がすっごく楽しみです!!!頑張ってくださいね! (9月12日 23時) (レス) id: 09c2417c6f (このIDを非表示/違反報告)
みのる - 続きすごい楽しみです!!!待ってます!!! (9月11日 23時) (レス) @page48 id: b8a09115f0 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - めっちゃ面白いです!続き楽しみにしてます! (5月3日 12時) (レス) @page48 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナキサ x他1人 | 作成日時:2021年8月27日 15時