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side 相澤 消太



郁はオールマイトさんを一度見た後、翼の個性をつかって家に帰った
病院にはオールマイトさんが話をしたことで騒ぎにはならずに済んだらしい
翼の葬儀も国が行ってくれた
翼の友達や、両親の知り合いにヒーローなどたくさんの人が参列した
だが郁は何も話すことなくただ目の前に立つ翼を見つめた
葬儀も火葬も全て終わり、静かな家に帰る
棚の上に二つ並んでいた写真の隣には真新しい写真がまた一つ加えられた
その写真たちは何も言わずにただ笑顔を浮かべている
飯も食わず郁は自分の部屋に行きベッドに潜り込んだ
全てが悪い夢だと自分に言い聞かせながら涙を流して意識を落とした

朝起きると横には翼が立ってこちらを見ていた
やっぱり夢ではなかったのだとため息を一つこぼし、学校の支度をする
いつもと同じ時間に家を出て学校につき教室に向かう
何も変わらないはずなのに人の視線が痛かった
教室に入り誰と喋るでもなくいつものように静かに窓の外を眺める
だが、今日はいつもと違った
郁を馬鹿にしていたいじめっ子が眉を下げながら話しかけてきた


「なぁ、幽辺

翼のことは…本当に残念だったな

葬儀は行けなかったけど

翼には昔助けてもらったことがあんだよ


…だからありがとうって、伝えてくれ」


『…大丈夫、伝わってるから

翼は今きみの横にいるよ』


郁はそう言ってまた外を眺めた
何も変わらなかった
ただ1人で過ごす時間が増えて家にいる時間がもっと増えた
悲しみを紛らわせるように机に向かい難しい数学の公式や、聞いたことのない単語を頭に詰め込んでいった


朝になれば学校へ行き
夜になれば1人泣いた
その間に培われた感情はヒーローへの憎しみ
郁はどんどん変わっていった


『ヒーローは()が終わらせる


そうすれば…



そうすればこの痛みから解放されるはず


ヒーローが悪い

ヒーローがいるからいけない

ヒーローが消えればみんな幸せになれる』



こうして今の郁は生まれた
目を開ければ夢見先生が眉を下げて俺を見ていた
そしてなぜかハンカチを渡してくる
頰が冷たい…触れてみればそこは濡れていた
厚意に甘えハンカチを借りる
すると、郁の指がピクリと動きゆっくりと重そうな瞼が上げられた


相「郁、起きたのか?」


夢「…郁くん、ここがどこだかわかる?」


『…ぉ、いん』


そう答えたかと思えば涙をポロポロと流し出した



『…なんで







死んでない、



___________________まだ、生きてた』

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ゆーゆ - 涙線ガバガバになりました…目がパンパンです()本当感動って感じの小説ありがとうございます… (2021年9月5日 2時) (レス) id: 7bfda9e817 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぁ - 偽りの自分って感じじゃなくて、ただ二人で一人って感じがとても好きです。 (2020年10月18日 22時) (レス) id: 3f15dcefd5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぁ - 何故か泣いてしまっていました。 (2020年10月18日 22時) (レス) id: 3f15dcefd5 (このIDを非表示/違反報告)
囚人 - 俺、泣いちゃいました。更新頑張って下さい!楽しみにしてます (2018年10月27日 23時) (レス) id: 235e75e60a (このIDを非表示/違反報告)
夜月(プロフ) - 45が抜けてますよ (2018年10月7日 23時) (レス) id: 79e4fb54ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:すえさん | 作成日時:2018年7月8日 13時

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