【ヒロアカ】ヴィランもヒーローも全部俺の敵【男主】

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俺は屋上に出ると手前の柵を掴んで


『っあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！』


大声で叫んだ
今この感情を吐き出さないと耐えられなかった
翼は心配そうな顔で俺を見る


『どうしたら終わるんだ

終わらせたい終わりたいもう嫌だ』


翼「終わらせない

何があっても俺が郁を守るから

泣かないで」


俺の涙拭った指は冷たい
翼が涙を流すことはない
そこに感情なんてないから
死者に心なんてない
体が記憶しているものを感情だと思い込んでいるだけだ

だから翼が今俺の顔を見て切なそうな顔をしていてもそれは翼の本当の感情じゃない
ただの感情もどきだ


「…おい」


その声に振り返れば赤と白の頭をした奴がいた
俺よりも先にここにいたのかもしれない
見たことがあるからきっとA組の奴だろう
俺はそいつを睨みつけた
普段から話したくなんてないが今はタイミングが悪すぎる


「大丈夫か」


『…誰だ

俺に話しかけるな』


「1-A の轟 焦凍だ


USJの時言っただろ

お前の個性について教えろ」


そうなこともあったかもしれないが
なんで今なんだよ
話しかけるなって言ってるのに


『…今度にしてくれ

今は誰にも会いたくない

特にヒーローに関係する奴らとは』


轟「…そいつはいいのか」


『…これは人間じゃない、幽霊だ

もういいだろ』


翼「兄の翼だ

悪いけど今は郁の機嫌が良くないから

また今度にしてくれないか」


轟「…わかった

体育祭、俺はお前にも勝つぞ」


そいつはそう言って屋上を出て行った


『…体育祭』


頑張るわけなんてない
出ようとも思ってない
出ることを強制されてもすぐに負けて終わらせる


『…皮肉な話だ


頑張って頑張って俺はヒーローから離れようとして

頑張って頑張って周りはヒーローに近づこうとする


でも


俺はヒーローから離れられないし

周りはヒーローに近づけない


求めるものは手に入らないのに

求めてないものばかり手に入る


なぁ翼、今何を感じてる？

お前は何か感じるのか？


…あの日から俺はお前のことがわからない』


隣に立つ翼は俺の頬に手を当てる


翼「俺は感じるよ

今郁がとても悲しいと苦しいと感じているのを

俺たちは双子だ

お前の気持ちはなんでもわかる」


なんでもわかる、か


『…俺は何も感じないよ翼

俺はお前が死んでから何も感じない』


今日はもう帰ろう
昼休みが終わるまでもう少し時間がある
俺は教室によって荷物を持ち家に帰った
頰には翼の手のひらの冷たい感触が残った

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