黒い少女2

75_見つけた ページ45

本編に戻ります。




その日の日が出ているうちは、特に何も起こる事はなかった。約束をしたのでずっとA嬢のそばにいたが、何かに気付いた様子はなかったので本当に問題は無いのだろう。

(それにしても、昨日は凄かったな。俺でさえ気づかなかったのに何処から来たかもわからない侵入者に気付くなんて)

俺も一応元裏の人間なのである程度の距離なら気配を感じる事ができる。しかし、流石に城全体を何処からでも察知する事は出来ないし、いつでも気付けるわけでは無い。だから今度は負けないと今まで以上に警戒を強める。

(今度こそは必ず捕まえる。それにA嬢に手を出させない！)

そう思いながら横を歩くA嬢を盗み見る。一見いつもとなんら変わらないように見えるが、俺と同じく警戒心がかなり強まっている事がわかる。無表情なのは変わらないが目の鋭さがかなり増しているからだ。

ピクッ

次の瞬間、俺とA嬢は全く同じタイミングで足を止め同じ方向を向いた。

オビ「A嬢」

目は同じ方を向いたまま呼びかける。視界の端で軽く頷いたのが見えた。その後深くフードを被った。

A『…2人、東の方から』

お互いが同じ事を感じたのを確認すると次の瞬間そちらに向かい始める。

(速っ)

俺も一応男なので決して負ける事はないが、隣を走るA嬢は気を抜けば消えているのではないかと思うほど速かった。今回はそれ程力が入っているということだろう。

(気をつけないとね)

こういう時のA嬢はきっと周りが見えなくなるのだろう。無理をするに決まっている。…タルナではそうだったように。

(もう、あんな目にはあわせない)

俺は短く書いた主宛ての紙をたまたま見張りで立っていた兵に渡し、そのまま走り続ける。

バッ！

同時に飛び出し着地すると、今にも別れようとしていた例の2人組が目の前に立っていた。2人とも突然のことに少し目を丸くしている。

？？「おぉ、誰かと思えば昨日のにぃちゃんじゃねぇか！」

目を丸くしたのも束の間、直ぐに戦闘態勢に入っている。

？？「それで？今日はもう1人いるみたいだけど、あんたは誰だ？」

すると答える前にA嬢は素早く相手の後ろに回り込み首元に手刀をくらわせる。

(また勝手に…！！)

？？「うぉっと！危ねぇな！いきなり何すんだよ！」

男は間一髪のところで避けた。しかしA嬢はすかさず男の銃を持ってる手を目掛けて蹴りを放つ。かなり上の方に蹴ったのでフードが外れてしまった。

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