5.期待しちゃうじゃない ページ7
話したいことはたくさんあるはずなのに、
いざとなると、喉元で詰まってしまい、
中々話し出せないものらしい。
しん、とした空気を察してか、
零くんが薄く口を開いた。
「大変だったな。その、ストーカー。
すまない。俺が傍にいてやれたら」
「気にしないで。零くんのせいじゃないし」
「仕事はちゃんとやる。金は払わなくていいからな」
「ありがと」
先程の私の言葉を思い出してか、
くつくつと笑いながら言った彼に少しむっとしたが、
機嫌が良さそうなので、放っておいた。
「恋人はいるのか？ 結婚はしてなさそうだが」
「いないよ。だって……」
はっと口を噤む。もう、七年も前の話なのだ。
大学生だった私達は、社会人になっているのだ。
彼があの約束を覚えているとは思えなかった。
「だって？」
「……いたら、探偵に頼る前に恋人に頼ってるでしょ」
へらりと力無く笑った私とは対照的に、
零くんの顔からは笑顔が消えた。
「それもそうだな」
あれ、不機嫌？
一応強がってみたけど、間違ってたかな。
七年振りだと、変に距離感が掴めない。
……いや、大学の時も掴めてなかったね。うん。
つまり、不機嫌になった理由が分からない訳で、
掛ける言葉もない訳で、もう黙るしかなかった。
でも、私も私でショックを受けていた。
やっぱり、あの約束は覚えていない、か。
心の中で自嘲的に笑った。
少しでも期待してた私が馬鹿みたいだ。
話す気分にもなれず、
向こうも察してか話しかけてはこなかったため、
家に着くまで無言だった。
ありがとね、と礼を言い、
荷物をまとめて、ドアを開ける。
片足を出して、腰を浮かせたところで、
くい、と腕を引かれる。
反動で、再度座り直すことになり、
驚いて零くんに顔を向ける。
どうしたの、と口を開く前に、
真剣な目で私を見つめた。
「俺は一日もお前を忘れたことはないからな」
「……え」
彼の言葉を飲み込む前に、ぽい、と車から放り出され、
ドアが閉まる音を背中で受ける。
ドアは運転席で操作出来るのか。
「じゃあな」
それだけ言葉を残して、さっさと走り去ってしまった。
照れてた、のかな。顔、赤かったし。
「何、それ」
顔が熱が集まるのを感じる。
大学時代に戻ったみたいで、こそばゆい。
そんなこと言われたら、期待しちゃうじゃん。
途端に恥ずかしくなって、
顔を見られないよう、
髪をくしゃくしゃと乱した後、小走りで家に入った。
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ちゃむPOP(プロフ) - ナツみかんさん» 私も書いてても亀更新なので…笑 更新ありがとうございます！ (2018年5月7日 18時) (
レス) id: ff2e6e27e2 (このIDを非表示/違反報告)
ナツみかん(プロフ) - ちゃむPOPさん» ありがとうございます……！！ すみません、全然進んでなくて(o_o) それでも待っていただけるなんて……本当、涙しか出ないです。頑張らせていただきます！！ (2018年5月6日 15時) (レス) id: 691cadf074 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむPOP(プロフ) - めっちゃ面白いです！続き気になります…待ってます！！ (2018年5月5日 10時) (レス) id: ff2e6e27e2 (このIDを非表示/違反報告)
ナツみかん(プロフ) - nanoka(*´∀｀)さん» ありがとうございます！ まだ展開はぜんっぜん進んでない上、中々更新出来ていないのをお詫びします(~_~;) すみません！ このような作品でも気に入っていただけて嬉しいです。ご期待に添えるよう頑張らせていただきます！ (2018年3月23日 23時) (レス) id: 9c9f3cfc59 (このIDを非表示/違反報告)
nanoka(*´∀｀)(プロフ) - ｢もしかし、俺の嫁になるかもしれない｣ってセリフのところで、死にました。いつも更新有難うございます。陰ながら応援してます、これからも頑張ってください！ (2018年3月22日 21時) (レス) id: 3399c25298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツみかん x他1人 | 作成日時：2018年3月13日 11時
