4.記憶よりもずっと綺麗な ページ6
久しぶりに見た彼女は、
記憶の中の彼女とは別人のように綺麗になっていた。
黒髪だった髪を染めて茶髪になっているし、
パーマも掛けているようだ。
メイクだって、あの頃よりずっと上手い。
頼りなかった猫背気味の背中はシャキリと伸びて、
どこからどう見ても、大人の女性だった。
ただ、笑うとぐっと目が垂れて、
途端に幼くなるところは全く変わっていない。
俺は、その笑顔が何よりも好きだった。
安室透の姿で会うことが悔やまれるが、
もう一度彼女は、俺に向けて笑ってくれるだろうか。
「はじめまして。安室透です」
*
安室さんがもうすぐ上がりだそうで、
家まで送ってくれることになった。
「すみません……! お待たせしました。こっちです」
連れてこられた駐車場には、
一際目立つ白い車があった。明らかに高級車だ。
聞けば、彼の車だという。
「探偵とカフェのバイトって儲かるんですか。
もしかして依頼料高かったりします?
私、あまりお金に余裕ないんですけど」
「ふふ、どうでしょうね。どうぞ乗って下さい」
安室さんが助手席の扉を開けてくれた。
高級車なんて、少し気後れしてしまう。
彼も乗り込み、さて、と言葉を漏らしてから、
エンジンを掛けた。
「久しぶりだな。A」
安室さんよりワントーン低い声。
荒い口調。自信家な笑顔。
昔と変わらない。私が知っている零くんだ。
目の前の人物を零くんだと認識した途端、
溢れそうになる涙をぐ、と堪えた。
私だって、良い大人だ。
少しでも気丈に振る舞うべきだ。
「……やっぱり、零くんだった」
少し混じってしまった涙声は、
高級車ならではの、座り心地の良いふかふかのシートが
吸収してくれた気がした。
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ちゃむPOP(プロフ) - ナツみかんさん» 私も書いてても亀更新なので…笑 更新ありがとうございます! (2018年5月7日 18時) (レス) id: ff2e6e27e2 (このIDを非表示/違反報告)
ナツみかん(プロフ) - ちゃむPOPさん» ありがとうございます……!! すみません、全然進んでなくて(o_o) それでも待っていただけるなんて……本当、涙しか出ないです。頑張らせていただきます!! (2018年5月6日 15時) (レス) id: 691cadf074 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむPOP(プロフ) - めっちゃ面白いです!続き気になります…待ってます!! (2018年5月5日 10時) (レス) id: ff2e6e27e2 (このIDを非表示/違反報告)
ナツみかん(プロフ) - nanoka(*´∀`)さん» ありがとうございます! まだ展開はぜんっぜん進んでない上、中々更新出来ていないのをお詫びします(~_~;) すみません! このような作品でも気に入っていただけて嬉しいです。ご期待に添えるよう頑張らせていただきます! (2018年3月23日 23時) (レス) id: 9c9f3cfc59 (このIDを非表示/違反報告)
nanoka(*´∀`)(プロフ) - 「もしかし、俺の嫁になるかもしれない」ってセリフのところで、死にました。いつも更新有難うございます。陰ながら応援してます、これからも頑張ってください! (2018年3月22日 21時) (レス) id: 3399c25298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナツみかん x他1人 | 作成日時:2018年3月13日 11時