【名探偵コナン】 瘡蓋を剥がすな

12.二人の関係 ページ14

「今すごい音したね。何だったんだろう」

蘭と一緒に窓から覗けば、
明らかに速度違反の二台の車が競り合っていた。
そのうち一台は、安室さんの車のようだ。

「僕、ちょっと見てくる！」

「え、コナン君！ もー」

「すぐ帰るから！」

博士が作った、ターボエンジン付きスケボーを手にして、
階段を駆け下りる。

夜遅いからか、あの二台以外に車は無い。
これならすぐに追いつけそうだ。

すぐにスケボーを走らせ、二台を追う。

まるで映画のようなドラテクを目の前にし、
すげえ、と感心していると、一台がスリップした。

どうやら、勝負は安室さんの勝ちのようだ。

近くの路地裏に入り、ビルの影から覗く。

スリップした車からA先生が飛び出たと思えば、
同じように車から飛び出た安室さんが抱き合った。

思わず声が出そうになり、慌てて口元を手で押さえる。
犯人追跡眼鏡で拡大すれば、
安室さんも拒否する様子は無く、
むしろ力強く腕を回していた。

可笑しいな。
安室さんがあそこまで距離を許すなんて。

A先生と安室さんがいるということは、
おそらくストーカーの件が解決したんだろう。
よほど怖がっていたから、安心感からA先生が安室さんに抱きつくのはまだ分かる。

だが、安室さんの行動は理解出来なかった。

ポアロでの安室さんは、客に迫られたとしても、
軽く交わして適度な距離を保つ。

ただの依頼人にしては親密すぎる。
この短期間で距離が詰められるとも考えにくい。
なら、二人の関係は？


安室透。

ポアロではすっかりイケメン店員として馴染む彼は
黒の組織の一員、バーボンであることが分かった。

動向を探り、その素顔を掴もうとしているが、未だに何一つ掴めていないのが現状だ。

A先生と安室さんが、
依頼人と探偵以外で考えられる関係は大きく分けて二つ。

一つは、A先生が一般人である場合。
バーボンが彼女に近付き、彼女を利用しようとしている可能性がある。
それなら、安室さんの行動にも納得がいく。

あともう一つは、彼女も黒の組織の一人である場合。

それ以外にせよ、彼女は確かにバーボンと繋がりがある。

バーボンをつついて何も出てこないなら、
彼女をつついてみればいい。

暫く彼女の様子を見ることを決定した俺は、
その場を静かに離れ、再びスケボーを走らせた。

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