【文スト】誘拐されました、助けてください。【中原中也】

Episode.８ ページ9

中也が作ったステーキと、睨めっこする私。

この状態で何分いただろうか。




お腹が空いた。でも、食べたくない＿＿＿。





矛盾した感情が交差する。


『食べよっ…かな』


空腹が勝ち、食べよう、と思った瞬間。





カチャリ、と、音がし、中也が帰って来た。







中也「A、良い土産を持ってきたぜ」


そう云った後、ヒラ、と、紙が真っ黒な床の上に落ちる。



その紙を、私は拾う。






『なに…これ、お母さん、私のこと捜してるの？』





その紙を見た途端、急に母親が恋しくなって、私は泣き始めてしまった。


ぽろぽろと、涙が紙を濡らしていく。





中也は私の涙を手で拭き取り、それを舐めた。


中也「A…手前は俺にだけ愛されてればいいんだよ。俺の為に生きろ、ここで、永遠にな」





中也に顎をクイ、と持ち上げられ、軽くキスをされる。


私は何も言わず、反抗的な目で中也を睨む。









中也「…いいねその顔、ソソられる」




やっぱり、貴方はおかしい。そう思ったが、怖くて口には出せなかった。

Episode.９→←Episode.７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す