【文スト】誘拐されました、助けてください。【中原中也】

Episode.ＸＸ ページ37

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薄暗くて、静かな部屋。









そこに、私は居る。









手錠を付けられ、足枷を付けられ、









歩く事すら出来なくて。









私が出来ることといえば、









一人で何もせず、ただひたすら









中也の＿＿＿＿兄の帰りを待つ事だけ。









✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼









中也「よォ、愛しのA、帰ったぜ」









彼は毎日、私に優しくキスをする。

もう私は、ここから出ることは決して許されない。









あの日までは、あの事に中也が気付くまでは、

私は、この部屋から出られたかもしれない。




あの時、中也が帰ってくる前に、

変に抵抗せず、太宰と一緒にここから出る事だって、出来た。









若しかしたら、太宰は今より
私を自由にしてくれて、
中也よりはマシに、
正常に愛してくれたかもしれない。









けどもう、終わった事で。

取り返しがつかなくなって。









＿＿＿だったら。









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『おかえり、愛しの中也』









この狂っている恋を認め、

中也だけを愛し、中也だけの為に生きる。

変に抵抗せず、

中也だけの云う事を聞く。







こうした方が、これからの人生を、私は幸せに生きる事が出来る。









＿＿私達の狂っていて切ない愛の結末を知る人は、


私達以外、誰も居ない。









＿＿Fin＿＿



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