戦闘訓練2 ページ6
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個性を使わずして対等に渡り合う出久の姿と、出久の必死の宣言により逆上した勝己の姿を、モニター越しにAは呆然と見つめていた。
モニターに映し出されている二人のどちらもが、小さい時から同じ時を歩んできた幼馴染であるはずなのに、赤の他人のように遠い存在に感じた。
「なァオイ！俺たちを騙してたんだろォ！？楽しかったかずっとぉ！あ！？」
勝己の声が、痛いほどに耳に響く。
「踊らされたもんだよな！俺も！Aも！！ずっと無個性だって嘘つかれてたのに蓋開けてみりゃ随分と派手な"個性"じゃねぇか、あ！？使ってこいや！俺の方が上だからよぉ！！！」
クラスメイトが、そっと視線を忍ばせてくるのが空気となって感じ取れた。
無理もない、とAは思った。
幼馴染である三人のなかに渦巻く、深い因縁に誰しもが薄々勘付いているはずだ。
勝己があそこまでこだわる何かに。
温和な出久が絶対に譲らない何かに。
そして私が、頑なに触れようとしない何かに。
激昂した勝己の畳み掛ける攻撃に必死に対応しようとするも、出久がだんだんと押されていっているのは誰の目にも明らかだった。
出久にはもう余裕がない。戦況が完全にひっくり返されている。
しかし、優位に立ってもなお、勝己の顔から焦燥感が消えることはなかった。
一体何にそこまで焦る？
この余裕のなさは何なのだと、A組の誰しもが不思議に思っているに違いない。
「何で"個性"使わねぇんだ！俺を舐めてんのか！？」
勝己の怒号が響く。
「ガキの頃から！ずっと！俺を舐めてたんかてめェはぁ！！」
「君が凄い人だから」
出久の目には、涙が浮かんでいた。
「勝ちたいんじゃないか！勝って！！超えたいじゃないかバカヤロー！！」
「その面やめろやクソナード！！」
(ああ…)
その時、不意にAの脳裏に浮かんだのは、まだ幼い頃の、出久の姿だった。
物陰から勝己の背中を目を輝かせて見つめていた出久。
(…つよくなったね、出久ーーー)
ビルが崩れ去る轟音。
意識を手放し、地面へと沈んだ出久と、それを信じられないといった様子で見つめながら、呆然と立ち尽くす勝己。
その顔がみるみるうちに青ざめ、冷や汗が滲んでいく。
勝己、と心のなかでAは呼びかけた。
私たちの後ろをついて回ってた出久は、いつのまにか自分の力で、自分の道を歩み始めてたんだね。
出久に執着してたのは、私たちの方だったんだねーーー
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スカイ(プロフ) - コメ返してくれてありがとうございました！めっちゃ面白い...最高です！今後に期待します！ (2018年6月19日 20時) (
レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
卯月(プロフ) - スカイさん» 感想ありがとうございます！勢いで書きなぐっておりますが、楽しんでいただけたようで嬉しいです＾＾ (2018年6月17日 23時) (レス) id: 23b7097a95 (このIDを非表示/違反報告)
スカイ(プロフ) - 本当に好みのシチュです！完結まで絶対見ますねー (2018年6月17日 19時) (レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
スカイ - 面白いです！頑張ってくださいね！ (2018年6月17日 16時) (レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卯月 | 作成日時：2018年6月13日 14時
