完膚なきまでの1位 ページ49
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ハウザーインパクト。
特大火力に勢いと回転を加えた、まさに人間榴弾。
Aは決着がついたことを確信すると静かに目を閉じ、椅子の背もたれに深く寄りかかった。
眉間には深くシワが刻まれている。
勝己が勝った。勝己の優勝だ。
選手宣誓で平然と言い放った言葉の通りになった。
――だが。
これで満足するはずがない。
勝己の渇きは、満たされない。
閉じたまぶたの裏には、勝己の技が炸裂する直前で炎を消した焦凍の姿がある。
焦凍は葛藤の末に、抗うことを放棄した。
戦うことが自分にとって意味を持たないと悟ったのだろう。
(…頭が痛い…)
デクより上を行かねえと意味がねえ、勝つつもりもねえなら俺の前に立つな。
勝己の言葉がよみがえる。
炎を使った焦凍に勝たなければ何の意味もなかったのだ。
出久は炎を使った焦凍に負けた。
出久より上に行くには、"全力"の焦凍に勝たなければいけなかったのだ。
勝己の異常なまでな強さに対する執着。
出久は勝己の唯一のトラウマであり、弱点だ。
きっとこの先も勝己は出久の存在に戸惑い、焦り、怒り、翻弄され続ける。
しかし皮肉なことにもそんな焦燥感が彼をここまで強くした。
出久と勝己の関係は、諸刃の剣なのだった。
「轟くん場外！よって――爆豪くんの勝ち！！」
「以上で全ての競技が終了！今年度雄英体育祭1年優勝は――…A組爆豪勝己！！！」
決勝戦にふさわしい激戦の終幕に会場中が色めき立つ。
気絶しているため当の本人たちの耳には届かなかっただろうが、盛大な大歓声のもと、体育祭は締めくくられた。
「おつかれっつうことで明日明後日は休校だ」
教室に戻って来てジャージから制服に着替え、帰りのホームルームが始まった。
リカバリーガールの治療も受けたものの、まだ怪我が治りきっていない生徒も大勢いる。
ヒーロー事務所からのスカウトの集計や怪我の療養のため、体育祭後の2日間は休みとなるのだった。
簡単な連絡事項だけ担任の相澤から告げられ、帰りの号令が済むと生徒たちは席から立ち上がり帰り支度を始めた。
心ここに在らずといった様子で相澤の言葉を上の空に聞き流していたAも、ゆるゆると立ち上がるとカバンに荷物を詰め始める。
焦凍と戦ってからどうも体がだるかった。
リカバリーガールの治療で全快したかに思えたが、１日の疲労の溜まった肉体はとうに限界を迎えているようだった。
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スカイ(プロフ) - コメ返してくれてありがとうございました！めっちゃ面白い...最高です！今後に期待します！ (2018年6月19日 20時) (
レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
卯月(プロフ) - スカイさん» 感想ありがとうございます！勢いで書きなぐっておりますが、楽しんでいただけたようで嬉しいです＾＾ (2018年6月17日 23時) (レス) id: 23b7097a95 (このIDを非表示/違反報告)
スカイ(プロフ) - 本当に好みのシチュです！完結まで絶対見ますねー (2018年6月17日 19時) (レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
スカイ - 面白いです！頑張ってくださいね！ (2018年6月17日 16時) (レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卯月 | 作成日時：2018年6月13日 14時
