行かないで ページ21
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「皆入り口へ！相澤くんを頼んだ、意識がない！」
オールマイトが訓練場に到着してから、一瞬のうちに何が起こったのかAにはよくわからなかった。
気が付いた時にはみなオールマイトの腕のなかにいて、相澤をつれて少しでも安全な場所へ逃げるよう告げられる。
頭が破裂しそうなほどの緊張から解き放されたことで、立ちくらみを起こしたAを蛙吹がとっさに支えた。
出久が相澤をおぶさり、その脚を峰田が補助するように持つ。
凄まじい勢いで攻撃を繰り出すオールマイトを目に、A組の一同は思わず息を飲んだ。
これがオールマイト。
私たちの、平和の象徴。
「やれええ金的を狙ええ！！」
「私たちの考えすぎだったかしら…すごいわ…」
感嘆の声が漏れるなか、出久だけが険しい表情を浮かべていた。
Aはその横顔を見つめるなり、すぐに出久が抱えているであろう思いを察した。
「蛙ス…っ…ユちゃん！A！」
「頑張ってるのね。なあに緑谷ちゃん」
「相澤先生担ぐの代わって…！！」
「うん…けどなんで…」
『待って出久』
相澤を蛙吹と峰田に託した出久の腕を、蛙吹の言葉を遮ってAはとっさに掴んだ。
驚いて出久が振り返る。
「A…っ…、ごめんお願い。時間がないんだ」
『いや…絶対に嫌！』
手を振りほどこうとする出久の腕を、絶対に離すまいとAは両手で力いっぱいに掴んだ。
涙で潤んだ出久の目が、Aに止めるなと言っている。
しかしAも、オールマイトと出久の秘密を知ってしまっている以上、出久を行かせるわけにはいかなかった。
この場で出久にしかわからないオールマイトの危機に、罪悪感と、そして何よりオールマイトを失いたくないという気持ちから出久は突き動かされている。
行かせない。
行かせたくない。
身を挺して危険を冒すなんて、絶対にしないでほしい。
見開かれたAの目からぽろぽろと涙が溢れた。
Aの涙に、思わず出久は顔を背けた。
『お願い出久。行かないで…』
「A……」
ごめんね、と小さく聞こえた気がした。
あっと思った時にはもう遅かった。
心を鬼にしてAを突き飛ばした出久は、全力でオールマイトのもとへ駆け出した。
突き飛ばされた衝撃で後ろへ倒れこむなか、Aは最後に唇を噛みしめる出久の横顔を見た。
『待って…出久待って！行かないで！出久やめて！！』
声の限りAは叫んだ。
しかしもう、出久は振り返らなかった。
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スカイ(プロフ) - コメ返してくれてありがとうございました！めっちゃ面白い...最高です！今後に期待します！ (2018年6月19日 20時) (
レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
卯月(プロフ) - スカイさん» 感想ありがとうございます！勢いで書きなぐっておりますが、楽しんでいただけたようで嬉しいです＾＾ (2018年6月17日 23時) (レス) id: 23b7097a95 (このIDを非表示/違反報告)
スカイ(プロフ) - 本当に好みのシチュです！完結まで絶対見ますねー (2018年6月17日 19時) (レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
スカイ - 面白いです！頑張ってくださいね！ (2018年6月17日 16時) (レス) id: fe3517b453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卯月 | 作成日時：2018年6月13日 14時
