赤 と 緑 の 愛 情 。

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「大倉、」



サッと近付いたすばる君の顔が遠ざかってった。





渋「ほら、ポカリ」


「ありがと」





ゴク、ってポカリを飲む。

そうや、アレは夢。理想。



今日デートの約束してた訳やないし。



…だいたい、花の匂いがして日光が眩しいとこなんか、きっと都内にない。






渋「めっちゃ楽しそうな顔してたけど何の夢見ててん？」


「んふ」


渋「何やねん」


「すばる君がね、出てきてん」


渋「俺？」


「ぉん。なんか、すばる君がな…」






ちょっと恥ずかしいけど話してもエエかな？

なんて思ってると、スマホに着信が。





「もしもし、北山ー？」


北「ん。体調は大丈夫？」


「マシになった」


北「良かった。…この電話、聞かれてるかもしんないから簡潔に言う」




走ってるみたいな息づかいの北山に嫌な予感。







北「…さっき、大倉の家から出てきたらストさんがいた。今は俺がつけられてる」


「え」


北「その後すばるさんが出てきたから、もしかしたらすばるさん見られたかも」


「…嘘やん」


北「嘘じゃない。てかストさんの事すばるさんに話した方が良いよ。じゃ、」






プツっと切れた電話を持って呆然とする。


家がバレたかも。
すばる君の存在がバレたかも。


それだけで俺は…




「…すばる君、」



俺から離れんといて。
でもストさんから逃げて。

…すばる君を、ストさんから守る最良の方法。






それは、





「…別れよ」





受け入れないで欲しかった。
理由くらい聞いて欲しかった。

お前にとっての俺はそんなモンやったん？って怒って欲しかった。


そんなの俺のわがままやし

それは“すばる君が俺を好き”って事実の下で出てくる言葉やから。









渋「…ぉん、別れよ」









やっぱホンマは別れたない。

そんな、簡単に出て行かんといて。
俺から離れんといて。



…別れようって言うたんは俺やけど、俺は今でもあなたが忘れられません。




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渇いた花

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