ロイヤルミルクストーリー (ページ33)

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「9月からの新メニューは芋栗梨をふんだんに使いたいなぁ」

「芋は紅芋がいいな。栗は丹波栗を使ってモンブラン。梨はタルトにしようか」

「お、いいね。たっちょん、梨はどこでお取り寄せする？」

「そうやなぁ、やっぱ鳥取やろな。秋栄とか？」

「それなら駅前の青果店で扱ってるな。昼の空いてる時に見に行ってくるわ。いい？マル」

「俺も一緒に行くわ。30分くらい抜けても大丈夫やろ？」

大倉の申し出に驚いていると、

「ん、俺がちゃんと店番してるから大丈夫やでー」

マルが背中を押した。

急遽決まった買い出し。

「なんか珍しいな。一緒に出掛けるってあんまないやん？」

大倉のスマートな運転動作を助手席で見るのは久しぶり。

「そうやな。つーか、店におるのがやない？」

「しばらくは居れるん？」

「うん。たまには落ち着かなな。そや、今度の定休日に旅行でも行かん？」

「旅行？」

「そう。温泉とか一泊で行けるとこ。城崎とか」

「一泊ならその辺やなぁ。温泉かー、みんなでわちゃわちゃ楽しいやろうな」

晶哉も喜びそう。マルは調整きくんかな？

「みんな？俺とお前とで行くんやで」

「… え、そうなん？」

思わぬ返答に驚いてしまった。

「2人で行くんはいやか？」

「や、そんな事はないけど … 」

「ここ最近お前と一緒におる時間がないやん？だから旅行もええかなって」

「でも、そんな時間取るよりもっとお前にはせんなあかん事があるん違うん？」

「たとえば何？」

「 …… 何でそれを俺に聞くん？」

イラついた。

大倉と居れて嬉しい筈やのに、近頃の俺はおかしいかも知れへん。

「… ヤスなんか変わったよな。あいつのせい？」

「あいつって誰やねん」

「佐野」

「は？晶哉？なんでやねん」

なんでここで晶哉が出てくるんか意味わからん。

「あいつが来てからお前の事がわからん時がある」

「… そんなこと」

なら、お前は初めから俺の何をわかってたん？

そう言ったらなんて答えるんやろう。

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