しょーたのお暇

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タエコちゃんはきっとお父さんに甘えたいんやと思う。


だから、俺の事をぎゅとするし、家事をしてお父さんに喜んでもらいたい、喜ばせたい。




いつもの激安八百屋で見つけた丸ごと白菜を片手に帰り道。


「 しばらくこれで食べ繋ぐぞっ。
わぁ、何作ろー？グラタン、サラダ、お鍋に …… 、

タエコちゃん？」



前を歩いている小学生の女の子のグループ。


その中でずば抜けてハイテンションではしゃぐ子がいた。


タエコちゃんやった。


「 変身っ！ 」


ポーズ決めてなんかヒーローキャラの真似っこしてる。


つか、 えっ？


「タエコまたそのキャラになりきってるん？ ほんま好きやなぁ！」


ええっ？


俺の知ってるタエコちゃんのキャラが違いすぎて、


「タエコもあとでゲームしに家においでよ」

「ごっめーん！今夜はパパとご飯食べに行くから無理やの」

「えー！いいなぁ！どこ行くん？」

「お寿司！」

「まさか、あの高級店？あそこのトロ美味しいよなぁ！」

「うん！ じゃ、また明日ね！」

そう言って、新築のきれいなマンションのエントランスに入って行くタエコちゃん。


え、ほんまにどうゆうこと？？


意味がわからず少しの間立ち止まっていると、
しばらくしてからひょいっとエントランスからタエコちゃんは出てきて、

俺の顔を見てめっちゃくちゃ驚いた。


だけど、


「なんか、見ました？」


「 う、ううん。なんも … 」



お互い何故か無言のまま、帰宅して。


…… 洗濯物取り入れよ。


てかてか、すごい場面に遭遇した感が否めず。


見たらあかんモノを見てしまった？



ガラッと勢いよく開けられたお隣の窓から、


「嘘つきのクソガキやと思ってるやんな！？」


「 えっ 」

「思ってるやろ、絶対！」


びっくりしている俺を置いてけぼりに、タエコちゃんは泣きそうに顔を真っ赤にしてまくし立てた。



「やって、仕方ないやんっ 友達と一緒にいると比べてしまうんやもんっ。

よその子が持ってるゲーム、なんで私は買ってもらえへんのやろうとか、

なんで私は洗濯物とか掃除したりご飯の用意してんのやろとか、

よその子は毎日いろんな美味しいお菓子やご飯食べれてんのに、なんでうちは毎日美味しくないビスケット食べてんねんやろって。

なんでうちには、
いってらっしゃいとかおかえりって言ってくれるお母さんが居らへんのっ？

そうゆうの、よそと比べて妬んでしまう自分がいややねんっ！」




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