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きっと、台本に無かった言葉。
すぐに虫さんにマイクを取り上げられて、てつやに頭を叩かれた。
虫「またとしみつが調子に乗りました!」
て「ちょっととしみつ、情緒不安定だから最近」
すぐにいつもの彼らの雰囲気に戻り、楽しいステージが続いた。
トークショーが終わり、メンバーがステージからはける。
ざわざわと帰っていくファンたち。
私も帰ろう。
としくんが、私を見てマイクを握った姿。
頭から離れない。
かっこよかった。
ひとりで歩いていると、私を待ち構えていたかのように、2人の女が目の前に立ちはだかった。
そろそろしつこくない?
3回目のご対面。
としみつガチ勢二人組だ。
「また来てんじゃん」
「目障りなんだけど」
『…彼女である前に、ファンだから私は』
小さく言い返す。
「だから、それが気に入らないんだって」
「ファンには手出さないって公言してるから、うちらはこーやって追っかけしてんじゃん」
「ファンのくせに、どんな手使って彼女になってんの」
「としみつ、騙されてんだよ」
なにも言い返せない。
この子たちの気持ちは、痛いほど分かる。
と「騙されてねーよ」
大好きな声。
私も、女2人も、ぱっと声のした方を向く。
としみつが、ポケットに手を突っ込んで立っていた。
まっすぐ私を見ながら、こっちへ歩いてくる。
女たちは、声が出ないらしい。
口に手を当てて、固まっている。
分かる。やばかっこいいよね。
生としみつ、ほんとやばいよね。
もう、次から次へと変わる状況についていけなくて、頭の中でそんなことを考える。
としみつが近づいてきて、私を引き寄せる。
と「なに俺の女いじめてんの」
「いや、ちが…」
と「違くねーだら。見たことあんな、お前。お前も」
2人を交互に指差す。
「えっ、覚えてくれてたんですか!」
こんな状況でも、認知されてるのは嬉しいらしい。
と「いつも来てるやん」
「はい!あの、これからも…」
と「二度と俺の前に現れんな。Aの前にも」
「え、」
と「ファンは大事だけど。Aいじめる奴は全然大事じゃないわ」
ねえ、としくん言いすぎ。
泣いちゃうよこの子たち。
「でも、ファンには手出さないって」
と「惚れちゃったんだから、しょーがねえがや」
「そんな、じゃあ私も可能性はあったってことですか?」
と「こんな陰湿なことする女、ファンじゃなくても無理」
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にじます - 見ててめっちゃキュンキュンしまくりでした!としくんがとにかくカッコよすぎました!ありがとうございます! (2021年1月29日 2時) (レス) id: a756719d9f (このIDを非表示/違反報告)
ちょんみる - またそれかよ。からの、一生推してろ。で胸がぎゅん!ってなりました…泣 完結までお疲れ様でした! (2020年6月1日 23時) (レス) id: 8b6be204f6 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 素敵すぎました……思わずスクロールして続編探してました笑 (2019年12月15日 3時) (レス) id: de131514da (このIDを非表示/違反報告)
ワイ - あー!終わってしまった、、めっちゃ良い作品でした!ありがとうございました!プロポーズ後の、物語みたいです! (2019年7月27日 0時) (レス) id: 66a772a320 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅっちゅ(プロフ) - ももねさん» ありがとうございます〜!!続編…ネタがたまったら挑戦してみたいです!! (2019年7月24日 23時) (レス) id: 28ddd181e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゅっちゅ | 作成日時:2019年7月12日 1時