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次の日は、撮影日。
集合時間ぎりぎりに、としみつが現れた。
と「おはようございまーす」
ご機嫌じゃん。
まったく、のんきな男だ。
と「あ、りょう、見て見て」
としみつが鞄の中から、何か出して俺に見せる。
り「…ネックレス?」
と「Aが、俺とお揃いにしたいけど高くて買えんっていつも言うからさぁ。買ってみた」
としみつの趣味全開の、正直言って女の子への贈り物とは思えないネックレス。
俺は、ぶっちゃけ自分のセンスに自信があって。
絶対に女の子の喜ぶものを買ってあげられると思ってた。
Aは、俺のあげた物なんかより、このネックレスに大喜びするんだろう。
としみつが選んだネックレスをつけて、幸せそうに笑うAの顔が眼に浮かぶ。
り「A、ばか喜ぶね」
と「そうだら?可愛いんだよ」
Aが悩んでることなんて知らずに、のんきにネックレスを見つめるとしみつ。
イライラするなぁ。
無性に、イライラする。
り「…あぁでも、今のAは喜べないかもな」
と「え?」
思わず、言わなくていいことを言ってしまった。
やべ、って思った時にはもう遅い。
と「なに?どういうこと?」
り「としみつ、昨日Aの電話出なかっただら?」
と「後から掛け直した、けど」
訝しげに俺を見る。
と「…なんで、りょうが知ってんの?」
まぁ、そうなるよな。
り「A、電話でなんて?」
としみつの質問を無視して、聞く。
と「別に、声聞きたくなったって」
り「そっか」
と「なに?意味わからん」
としみつは、なにも知らない。
Aが何を考えてて、何に悩んでんのか。
女の子の気持ちなんて、全然察してやれないこいつが、Aの大好きな人。
悔しいなぁ。
り「A、としみつ推しの子に昨日突き飛ばされたんだよ」
と「…は?」
り「前も一回、暴言吐かれてるとこ見たし。何も聞いてないの?」
と「…」
黙り込む。
り「としみつ」
り「あんま余裕こいてると、奪われるかもよ」
と「…誰に」
俺に。
り「…さぁね」
としみつは、手の中のネックレスをちらっと見て、舌打ちをした。
と「悪い、ちょっと抜けるわ」
言い残して、てつやの家を出て行った。
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にじます - 見ててめっちゃキュンキュンしまくりでした!としくんがとにかくカッコよすぎました!ありがとうございます! (2021年1月29日 2時) (レス) id: a756719d9f (このIDを非表示/違反報告)
ちょんみる - またそれかよ。からの、一生推してろ。で胸がぎゅん!ってなりました…泣 完結までお疲れ様でした! (2020年6月1日 23時) (レス) id: 8b6be204f6 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 素敵すぎました……思わずスクロールして続編探してました笑 (2019年12月15日 3時) (レス) id: de131514da (このIDを非表示/違反報告)
ワイ - あー!終わってしまった、、めっちゃ良い作品でした!ありがとうございました!プロポーズ後の、物語みたいです! (2019年7月27日 0時) (レス) id: 66a772a320 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅっちゅ(プロフ) - ももねさん» ありがとうございます〜!!続編…ネタがたまったら挑戦してみたいです!! (2019年7月24日 23時) (レス) id: 28ddd181e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゅっちゅ | 作成日時:2019年7月12日 1時