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仕事がお休みの日。
なにしようって考えて、思い立って車を走らせていた。
メンバーの等身大パネルが新しくなってから、そういえば写真を撮りに行ってなかった。
もう設置されてから何ヶ月も経っている。
ガチ勢失格じゃん。
彼女になったからって安心している自分に喝を入れるべく、今日は全員分回る。
そう決めて、一人目のパネルに向かっていた。
とりあえず推しからということで、としみつパネルの場所に着いた。
日曜日だったから、ファンらしい子たちの姿がちらほら見える。
推しのパネルにまっすぐ近づく。
今日も尊いですとしくん。
じっと見つめる。
かっこいい。
ねぇ、この人と付き合ってるんだよ。
え、すご。
付き合ってからもう何度目か分からない、感動。
写真撮ろって、鞄を漁っていると、後ろに人の気配。
振り返ると、二人組の女の子が立っていた。
「やっぱり。A、だよね」
見たことある。この子たち。
イベントでよく見かける。
としみつ推しだ。
『え、はい』
なぜ私の名前を知っている。
疑問を抱えながら返事する。
「としみつと付き合ってるんでしょ?」
「最近としみつが動画で言ってる彼女って、あんただよね」
敵対心丸出しの声で言われる。
『え、なんで、私…』
「としみつといるところ盗撮されたの出回ってんだよ」
「ガチ勢で話題になってる。Aじゃね?って」
まじか。
たまにしか出歩かないとは言っても、ちょくちょくとしみつと二人でいるときに声もかけられる。
気をつけてても、出回っちゃうのね。
有名人って大変なんだなぁ。
『すごいね、私って分かったんだ』
「イベでよく見かける子ぐらい覚えてるわ」
「ていうか、ありえなくね?ガチ勢彼女にするとか」
「としみつに何したんだよ」
相当怒っている。
そりゃそうだ。
私も、としくんに彼女ができたなんて聞いたら、絶対に病む。
その彼女が、ガチ勢だなんて知ったら、怒りに変わるだろう。
としみつ推しの二人組の気持ちが、痛いほど分かって、反論せずに黙る。
「ていうか、彼女がなにこんなとこ写真撮りにきてんだよ」
「嫌味?優越感感じちゃってんの?」
「なんか言えよ」
なんと言えば、この場が収まるのか。
うーん。
困っていると、横から聞き慣れた声。
り「俺の友達の彼女、いじめないであげて」
「えっ」
「きゃー!!え、りょうくん!!」
えっ。
かっこよく現れたりょうくんに、驚いて言葉が出ない。
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にじます - 見ててめっちゃキュンキュンしまくりでした!としくんがとにかくカッコよすぎました!ありがとうございます! (2021年1月29日 2時) (レス) id: a756719d9f (このIDを非表示/違反報告)
ちょんみる - またそれかよ。からの、一生推してろ。で胸がぎゅん!ってなりました…泣 完結までお疲れ様でした! (2020年6月1日 23時) (レス) id: 8b6be204f6 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 素敵すぎました……思わずスクロールして続編探してました笑 (2019年12月15日 3時) (レス) id: de131514da (このIDを非表示/違反報告)
ワイ - あー!終わってしまった、、めっちゃ良い作品でした!ありがとうございました!プロポーズ後の、物語みたいです! (2019年7月27日 0時) (レス) id: 66a772a320 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅっちゅ(プロフ) - ももねさん» ありがとうございます〜!!続編…ネタがたまったら挑戦してみたいです!! (2019年7月24日 23時) (レス) id: 28ddd181e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゅっちゅ | 作成日時:2019年7月12日 1時