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あれ以来、男遊びもまったくしないで、動画の推しを愛でることに徹した。
そして今日は、としみつに行くよって宣言してたイベント、当日。
チケットを見つめる。
めちゃくちゃでかい会場。
さすがに、としみつが私に気づくこともない。
純粋にわくわくする気持ちと、久しぶりに推しを生で見れるどきどきで、心が躍る。
会場について、わくわくが大きくなる。
物販並ぼ。
時間を見ようと、携帯を取り出すと、通知が来ている。
ちゃんと確認もせずに、通知を開く。
心臓が、どきっと鳴った。
[来てる?]
としみつから。
連絡が来たのは、最後にご飯に行って以来。
なんで今?
返すべきなのか迷って、その場に立ち止まる。
やっぱり無視はできなくて、ゆっくり文字を打つ。
[今から物販並ぶ。がんばってね!]
がんばれーってスタンプと共に。
かっこいい姿、見せてね。
さてと、と物販の列に向かって歩き出すと、すぐに携帯が震えた。
[楽屋これば?]
ねぇ。だから。
なに考えてるのかわかんないんだって。
LINEの一言で、また胸が苦しくなる。
ていうか行けるの?
[一般人が入れるの?]
疑問をそのまま送る。
[いける。通用口]
その返事を見て、私の足は迷わず物販の列を逸れた。
通用口、通用口。
大きな建物の周りを、歩いて回る。
あった。
たくさんの人が、忙しそうに出入りしている。
これ不法侵入にならない?大丈夫?
出入り口に近づいてみる。
一旦様子を見てみようと、そーっと中を覗く。
「お姉さん?通行証持ってます?」
後ろから声をかけられて、心臓が飛び跳ねる。
スーツを着た男の人が、眉を寄せて立っていた。
そりゃ声かけられるでしょ。
がっつりグッズTシャツ着てる女が覗いてたら。
『あ、持ってないです…』
「困るんですよね〜そういうことされると」
『ごめんなさい』
慌ててその場を離れようとすると、いきなり誰かに腕を掴まれた。
と「ごめん!亀ちゃん!俺が呼んだ!」
『…としくん』
息を切らせたとしみつが、私の腕を引き寄せる。
え、ていうか、亀ちゃん?
この人が噂のバディさんの亀ちゃん?
頭の中がパニック状態。
あ、としくんイベント仕様だ。
超かっこいい。
「えぇ…としみつさん、困りますよ」
と「お願い、見逃して」
としみつが、亀ちゃん(?)に頼み込んでいる。
「…今回だけにしてくださいね」
と「まじでありがとう」
としみつに手を引かれたまま、通用口を通り抜けた。
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こは(プロフ) - 胸が…ぎゅーーーってなった……すきです…ありがとうございました…(?) (2020年4月23日 12時) (レス) id: 78e7bcbdad (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - う、うわぁ、ありがとうございます、ちゅっちゅさんの文才ありすぎ羨ましいです、、、頑張ります泣 (2019年7月19日 8時) (レス) id: f2a0ee3fb7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅっちゅ(プロフ) - ぴさん» ぴさんの見てます!(笑)がんばってください(笑)ありがとうございます!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 28ddd181e2 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - 何回読んでもキュンキュンさせられます! (2019年7月13日 1時) (レス) id: af508cf9f8 (このIDを非表示/違反報告)
ハルキ(プロフ) - キュンキュンが止まらない作品でした!ありがとうございます!また新たな作品も楽しみにしております! (2019年7月12日 7時) (レス) id: 08df1f4a97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゅっちゅ | 作成日時:2019年6月12日 1時