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初めて一緒にご飯に行って以来、としみつは週に一度ぐらいのペースで私をご飯に誘ってくれるようになった。
忙しいのに、私に時間をつかってもらっていいのだろうか。
なんでこんなに誘ってくれるんだろう。
申し訳なさを感じつつも、誘われたら、他の予定を蹴ってでも会いたい。
もう、一緒にご飯に行くのは何回目かな。
仕事帰りの私を駅まで迎えに来てくれる。
と「おつかれ」
『ありがとう。わぁ!としくん今日もかっこいいね!』
心の中で大爆発していた尊いの感情を、直接伝えられるぐらいには仲が深まった。はず。
と「うるせえ。キスするぞ」
『えっ。して?』
相変わらずキラキラ輝く横顔を見つめる。
ハンドルを握るとしみつは、こっちをちらっと見て、恥ずかしそうにまた前を向く。
と「俺、ファンには手出さねーから」
何度も聞いた、そのセリフ。
手を出す気ないのに、こうやって誘ってくれる理由を、私はまだ聞けずにいる。
おいしいご飯を食べて、まっすぐ家まで送ってくれる。
これもいつも通り。
キスどころか、触れられたことすら無い。
…十分幸せじゃん。
画面の向こうの大スターだった推しと、数時間ふたりきりでいられる。
数ヶ月前の私が知ったら、ぶっ倒れるだろう。
でも。やっぱり欲って出ちゃうんだね。
ねぇ、としくんはどう思ってるの?
もっと近づきたい。
手を繋ぎたい。
ちゅーしたい。
好きだよ、って言われたい。
今、幸せすぎる状況のはずなのに、この先を求めてる。
ぼーっと、そんなことを考えてると、いつのまにか車は私の家の前に着いていた。
と「はい、着いたよ」
『ありがとう』
降りようとしない私を、としみつが不思議な顔で見る。
と「どーした?」
『ううん、』
なんでもない。
そう言おうとしたけど、言葉が出てこない。
だめだ。
聞きたい。
『としくんは、…私のことどう思ってるの?』
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こは(プロフ) - 胸が…ぎゅーーーってなった……すきです…ありがとうございました…(?) (2020年4月23日 12時) (レス) id: 78e7bcbdad (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - う、うわぁ、ありがとうございます、ちゅっちゅさんの文才ありすぎ羨ましいです、、、頑張ります泣 (2019年7月19日 8時) (レス) id: f2a0ee3fb7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅっちゅ(プロフ) - ぴさん» ぴさんの見てます!(笑)がんばってください(笑)ありがとうございます!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 28ddd181e2 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - 何回読んでもキュンキュンさせられます! (2019年7月13日 1時) (レス) id: af508cf9f8 (このIDを非表示/違反報告)
ハルキ(プロフ) - キュンキュンが止まらない作品でした!ありがとうございます!また新たな作品も楽しみにしております! (2019年7月12日 7時) (レス) id: 08df1f4a97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゅっちゅ | 作成日時:2019年6月12日 1時