#15 ページ15
.
街灯がひとつだけ灯る公園のベンチに、並んで座る。
『たいきのこと、中学の時からずっと好きだった』
たいき…？
突然でてきた新しい名前に、一瞬はてなが浮かぶ。
あ、虫眼鏡の名前か。
虫眼鏡のことをたいき、と呼ぶ。
たったそれだけで、嫉妬心が生まれる。
やばいな、話全部聞いたら俺のメンタルぼろぼろやん。
『てっちゃん？聞いてる？』
て「あぁ、うん。虫さんね」
『家が隣で、毎日勉強教えてもらいに押しかけたりして。ずっと好きで、はたちの時に勇気出して告白したの』
『でも、振られちゃった』
下を向いたまま話し続ける。
『ギャルだから嫌、って。ひどくない？見た目かよみたいな』
小さく笑う。
『僕は真面目そうな子が好きなんだって。だから、黒髪にしてメイク薄くしてみたりとか色々したけどやっぱり無理みたい』
『ちっちゃくて真面目そうな可愛い彼女できてさ。てっちゃんも知ってるでしょ？』
て「…知ってる」
虫眼鏡の彼女。
たしかにAとは正反対の、真面目そうな子。
『辛かったなぁ。彼女できたんだーとか普通に言われて』
ゆっくりと、Aは話し続ける。
真面目な見た目になろうとした努力も虚しく、虫眼鏡には彼女が出来て。
Aが告白してきたことなんてすっかり忘れて、彼女の惚気話を聞かされる始末。
すっかり自暴自棄になったAは、見た目もまたすっかり派手に戻り、夜遊びに明け暮れていたらしい。
て「で、その夜遊びしてたら俺と出会ったと」
『そう。毎日動画で見てる男が現れたから、びっくりした』
て「でもさぁ、なんで知らんとか言ったの？」
『嫌いだったもん。東海オンエア』
えぇえ。
シンプルな理由にぐさっと傷つく。
腐ってもリーダーだからな。
『たいき、元はインドアだし。毎日家に行けば会えたのに、東海オンエアになってから全然構ってくれなくて』
『毎日てつやがどうの、しばゆーがどうのって楽しそうに話すんだもん』
なるほど。
『そんな感じで、全部隠してました。ごめんね、てっちゃん』
て「で、今は？…まだ好きなの？」
肝心なところが聞けていない。
大事なのは今やん。
『…うん』
『やっぱり忘れられない。無理だってわかってるけど』
「そっか」
だめだ。へこむ。
ていうか虫眼鏡にちょっと腹が立つ。
なんでこんないい女振ってんだよ。
虫の癖に。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 677人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゅっちゅ(プロフ) - フラワーさん» てっちゃんらしさ、出てたでしょうか、、よかったです、、！いつもありがとうございますがんばります！！ (2019年7月7日 23時) (
レス) id: 28ddd181e2 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅっちゅ(プロフ) - なぁさん» 虫さん自信なかったのでそう言っていただけてとても嬉しいですありがとうございます、、！！次回作ちまちま更新していきますのでよかったら見てやってください！！ (2019年7月7日 23時) (レス) id: 28ddd181e2 (このIDを非表示/違反報告)
フラワー(プロフ) - 完結本当にお疲れさまでした。リダらしいというかありえる感じがよかったです。他の作品も引き続き楽しませていただきます。頑張って下さい。 (2019年7月7日 21時) (レス) id: 34909526e5 (このIDを非表示/違反報告)
なぁ(プロフ) - 更新お疲れ様でした！虫さんと主人公の関係がとても好きでした…ゲロ甘エンド！てっちゃんらしいデレデレでとても素敵でした！もし次回作があれば、そちらも読ませていただきます！ (2019年7月7日 20時) (レス) id: 07945c6d2e (このIDを非表示/違反報告)
ちゅっちゅ(プロフ) - フラワーさん» コメントありがとうございます！とても励みになります〜！！そろそろクライマックスですがんばります！ (2019年6月21日 15時) (レス) id: 28ddd181e2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゅっちゅ
| 作成日時：2019年4月14日 2時
