アソビゴコロ３【川村壱馬】

俺の玩具 ページ45

壱馬side.




Aを知ってる奴らは
一斉にAの方を見る

どこにいるか分からない奴
そもそも存在を知らない奴
そいつらは何事かとでも言いたげな顔で
キョロキョロしている

当の本人は口を開けてあほ面
…何してんだよ、手間取らせんなばか






壱｢…A｣






マイク越しに低い声で呼べば
いつもの癖で肩を びく と揺らす






壱｢…早く来いよ｣






聞こえなかったけど、たぶん小さく返事した
口が はい って動いたから

この状況でも返事すんのかよ

ほんとにおもしろいあほ正直女だなって
思わず笑みが零れた
その瞬間、館内にざわついた声とはまた別な声が上がった

…やべ、
俺、今無意識で笑って…

女たちの黄色い声が響く中
視線をさ迷わせたら
笑いを堪えてる北人と翔吾が見えた

…後で覚えてろよ、あいつら

睨み効かせてたら
いつの間にか壇上に上がる階段の前まで来てたA
そこからどうしていいか分からずに俺を見上げている

…めんどくせぇ奴

階段降りてAを迎えに行く
不安そうな顔を見せるAに伝えた






壱｢…ただ俺の隣にいればいいから｣






全く様子が分かっていないAの手を引いて階段をあがる
再びマイクの前に立とうとして、やめた

セットされてたマイクを外して
壇上のギリギリの所に立つ

先生たちも何事かと眉をしかめている
…わりぃな、今日で優等生な川村壱馬は終わりだ






壱｢今、ここに呼んだ熊城Aは…俺の彼女です｣






いろんな声で館内が揺れる
驚き、悲しみ、羨望
うるせぇな って思ってたら
Aがそれ以上にびっくりした顔で俺を見てた






『な、にを…おっしゃって…』


壱｢ほんとのことじゃん？｣


『や、でもこんなに人がいっぱいいるのに…』


壱｢鬱陶しい虫潰すため｣


『む、虫…？』


壱｢Aに攻撃して、俺にまとわりつこうとするうぜえ虫｣


『そ、そんな虫いるんですか…！？でも、それがわたしを壇上にあげる理由にはならな…っ！？』


壱｢…ちょっとだけ黙ってくんね？｣






Aの腰を引いて、抵抗する暇もなく唇を塞いだ

…彼女って言ったのが間違いだった
やっぱりこいつにはあの言葉がお似合いか

唇を離して、真っ赤な顔してるAの肩を抱く






壱｢…俺、自分のモノ横取りされたり壊されたりすんのすっげー嫌いなんだよね｣

壱｢だからさ、俺の玩具で…アソばないでくんねぇかな｣






Aはやっぱり…


俺の、俺だけの…玩具だ




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