アソビゴコロ３【川村壱馬】

こわい ページ41

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『よしっ、ユウちゃん！壱馬先輩のとこ行ってくる！』


ユ｢はーい、行ってらっしゃい｣






ユウちゃんに手を振って
教室を出た

階段を登って、廊下に出る角の所を出たら
前から誰かが走ってきてぶつかってしまった






『っ、』






その弾みで持ってたお弁当落としちゃった
ごめんなさい って謝ろうと顔を上げたら
その人、何事も無かったかのようにわたしの横を通り過ぎようとした

あれ…って思った時
わたしにしか聞こえないような小さな声で






｢…調子乗ってるからだよ｣






って呟いた

唖然としてたら
階段降りて行っちゃって顔見えなかった

…だ、れ？
調子乗ってる…って、なに？
今ぶつかったのわざと…だよね

ぶる、と体が震えた
落ちて飛んでいっちゃったお弁当拾って
どうしよう と考える

これ…落ちちゃったから
中身絶対ぐちゃぐちゃだ
そんなお弁当、壱馬先輩に渡せない

突然起きた出来事に動揺してしまう
…こわい、
調子乗ってるってことは、もしかして、壱馬先輩とのこと…？

通りすがる人がお弁当持ちながら
俯いてるわたしのこと見てヒソヒソ言ってるのが聞こえる

みんな…敵に思えちゃう
そんなことないはずなのに

こわい、会いたい
壱馬先輩の顔見たい
…わたしのお弁当渡そう
壱馬先輩の忘れちゃったって言って

必死に落ち着こうとして
一旦壱馬先輩の分のお弁当を教室に置いてこようと振り返った






翔｢あ、きゅまちゃん！｣


『あ…、いわ、やせ…』


翔｢…きゅまちゃん、どうしたん？泣きそうな顔して、｣


『あ、いえ…っ』






見知った安心できる人が目の前に来て安心したのか
急に目に涙が滲んできた

だめ…っ
岩谷先輩の前で泣いたら
壱馬先輩にばれちゃう、！

だけど、岩谷先輩はすぐに異変に気づいて
わたしが抱えてるお弁当を見た
一瞬険しい顔をしてから
いつもの優しい笑顔を向けてくれた






翔｢大丈夫。壱馬は分かってんで｣


『…え？』


翔｢壱馬のとこ行こ！｣






優しく肩を押してくれて
その反動で足が一歩前に出る

壱馬先輩は分かってる、ってなんだろう
岩谷先輩は何か…知ってるの？

岩谷先輩の後ろに隠れるようにして
教室まで行った






翔｢かーずーまー｣


壱｢…なに？｣






きゅぅぅぅ、って胸が苦しくなった
声だけで、こんなに大好きだって思う

岩谷先輩の後ろから顔だけ出して教室の中を見れば
壱馬先輩が怪訝な顔してこっちを見てた




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