アソビゴコロ３【川村壱馬】

小悪魔 ページ24

壱馬side.




滝の奥は水流が弱くて少し力をいれれば流れることはなかった
あんまり人も来ないからAをいじめるには絶好の場所

こっちを向かせてから重心を移動させて
Aを浮き輪の端に追いやって身動きが取れないようにする

プールに入っているのに
Aと触れた部分だけが温かい






壱｢顔上げろ｣


『やだぁ…っ』


壱｢なんも変わんねぇって｣


『そんなこと言ってマスカラとか落ちてたらどうしてくれるんですか…』


壱｢…翔吾たちに見せびらかす｣


『いじわ…、っ！』






言うだろうと思ってた言葉が最後まで俺に届く前に
濡れた前髪にキスをした

一瞬力が抜けたのを見逃さずに
片手をずらして唇を奪う
温かい唇は少しだけ塩素の味がした

完全に力が抜けた手が弱々しく俺の肩を掴む
…だめだな
あんまりやりすぎると理性がきかなくなる






『っ、は…っ！』


壱｢…ほら、変わんねぇじゃん｣


『前髪散らばってる〜…』


壱｢変わってねぇって。…かわいいよ｣


『え？ごめんなさい、水の音すごくて最後聞こえなかっ…』


壱｢っ、もう一生言わねぇ！｣


『な、なんで怒ってるんですかっ！？』






Aの体勢を無理やり元に戻して
滝の奥から出た

…何言ってんだよ、俺は

何が…かわいいだよ
こんなクマ野郎より美人でスタイル良くて綺麗でかわいい人なんてゴロゴロいるのに
無意識に呟いてた

今日は、何か変だ
いつもと違う場所だからか
水着だし、脳が勝手にそう思っただけ
きっと、そうだ






壱｢北人たちどこだろうな｣


『…』


壱｢A？…って、｣






モヤモヤする気持ちを忘れたくて話しかけたのに
無反応のAを不思議に思って横顔を見ようとした

そしたら、耳が真っ赤なことに気づいて
もしかしたら今更さっきのキス照れてるんかなって






壱｢…もっかいする？｣


『…っ！？し、ないです、！』


壱｢なんや、つまらんなぁ｣


『だって…知らない人いっぱいいるのに、』


壱｢いなかったらいいんだ？｣


『え、！？えっ、と…』






少し戸惑ってから
さっきよりも耳を赤くして こくん と頷いた

…これを無意識でやってるんだったら
天性の小悪魔なんやろうな、こいつは






壱｢今日…泊まり来る？｣






来る？ なんて誘うような言い方
ほんとは俺が来て欲しいだけなくせに

勢いよく はい！ って返事をしたAに
頬を緩ませる自分がいた




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