アソビゴコロ３【川村壱馬】

普通の幸せ ページ20

壱馬side.




ほんとに男多いな…
みんな暇なのかよ
家にいろよ

そんなことを思いながら
戻ろうとしたら聞こえてきた会話






｢えー、お前あんなのがタイプなの？笑｣

｢いや、かわいいって｣

｢確かにかわいいけどもうちょっと大人っぽい方が俺は好きだわ〜｣

｢声掛けてくればいいじゃん、1人だし｣

｢どうせ彼氏持ちだろ、｣

｢言ってみないとわかんねぇって！｣






…盛ってんなあ

そう思ってそいつらの視線の先見たら
ちまっと立ってるくま野郎

…は？
なに、あいつのことかわいいって？
てか、北人と翔吾どこだよ
なんで1人にして…

考えてたら3人の男がAに近づいてった
まさか本気で声かける気じゃ…

俺は咄嗟にわざと大きめに咳払いして
Aを見た

そしたら運良くAがこっちを向いて
嬉しそうに笑って走ってきた

見事に男たちとすれ違って
ざまあみろと思ってる間に目の前までAが来る
俺に抱きつこうとして遠慮して止まるから
なんでこんな時に遠慮してんだよ…って思って
思い切り引き寄せる






『かっ…壱馬せ…！？』


壱｢ちょっと黙ってろ｣






小声でそうやり取りしてから
Aの耳を甘噛みする

びくん、と動いた肩から片方だけパーカーをずらして撫でる
視線を感じて前見たらさっきの奴ら


てめぇらみたいな奴にA渡すわけねぇだろ、ばーか


そう心で悪態をつきながら
Aの髪の毛にキスをした

そしたら、小声で何かをやり取りして去っていった






壱｢うざ…｣


『かず、ませんぱ…？』


壱｢虫がいた｣


『むっ、むし！？やだ！』


壱｢嫌だろ。だから俺から離れんな｣






いつもみたいに腕引こうとしたけど
さっきの手を繋いだ北人を思い出して
Aの左手を握ってみた

…理由は簡単で
Aがちょっと嬉しそうだったから

握られた手を見て驚いた表情を見せたものの
幸せそうに笑って






『絶対離れないですっ！』






そう言い切った

繋ぎたいと思って
誰かと手を繋ぐ日が来るなんて想像もしてなかった

Aは…普通の幸せを望んでいるんだろうか






『岩谷先輩たち、浮き輪膨らませに行ったんです』


壱｢あー、流れるプールが楽しみだとか言ってたな｣


『わたしも流れたい！』


壱｢お前浮き輪あんの？｣


『ないです…』


壱｢残念でした｣






貸してもらうもん！って言ったAを改めて見たけど
…他の男に見せんのやだな




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