アソビゴコロ 〜Wedding？〜５【川村壱馬】

小動物 ページ1

壱馬side.




壱｢……｣


『ん…、』






バイトがないから一緒に帰りたい、と言ったA
俺はまだ講義が残ってたから 待ってろ って言ったのに
壱馬先輩がどんな講義受けてるのか知りたいです！
って顔を輝かせた

人数も多いし
こんなちびクマ一人いたって別にバレない
だから特別に隣に座らせてやったのに
講義が始まって5分で寝やがった

ノート取りながらも
人目を気にしない豪快な寝姿を見てた

…かわいいな
くそ、ムカつく

頬を撫でたら
マシュマロなんじゃないかってぐらい柔らかくて
赤ちゃんのまま成長止まってんじゃねぇかとか思う

頬だけじゃなくて
どこ触っても柔らかい
太ってるとかじゃなくて
ただ柔らかい

細いのに、柔らかい

Aに触れて
そういうのを実感する度に
俺が守らなきゃって思う






翔｢壱馬壱馬｣


壱｢ん？｣


翔｢きゅまちゃんのこと好きでたまらんのは分かるけどさ、そんな顔見せたらまた変なファン増えんで｣


壱｢…は？｣






翔吾が変なこと言うから
周りを見たら
女が小さな声で何かを話しながら俺を見てた

" 壱馬くん、あんな顔するんだね "
" かわいい〜。いいなぁ、彼女 "
" 1回でいいから目見て笑って欲しい "
" あー、わかる "

…どいつもこいつも
俺はAだからこうなるわけで
お前らには何の感情も湧かねぇんだよ、散れ






壱｢…連れてくんじゃなかった｣


北｢うれしいくせに｣


壱｢…まぁ、｣


翔｢えっ、デレ壱馬や！｣






茶化す翔吾の足を踏みつけて
Aの顔が見えないように
顔の上にレジュメ置いてやった

最後まで爆睡を貫いたA
翔吾と北人はバイトがあるから
2人が帰る前に起こしてやろうとしたのに
あとは楽しんで〜 とか言ってそそくさと帰った2人

…んだよ
2人と話せた方がAも喜ぶのに






壱｢A｣


『…〜〜、』


壱｢起きろ、帰んぞ｣






バッ！と起き上がって瞬きを繰り返す
俺を見て、不思議そうな顔

その顔がほんと小動物みたいで
顔を押さえて思わず笑う






壱｢その顔やめろよ、ツボだわ｣


『え…終わったの？』


壱｢終わった。翔吾も北人も帰った｣


『え〜…、お話できなかった…』


壱｢寝てる奴が悪い。ほら、早く立って｣


『あれ、わたしの荷物』


壱｢持った｣


『今日重いのに、』


壱｢こんくらい別に｣






持たせるわけねぇじゃん

歩くの遅いんだし
手とか痛くなったりしたら嫌だしな




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