インターホン ページ32
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母「お母さん仕事行ってくるから」
『うん、行ってらっしゃい…』
母「剛さん来てくれるらしいから、それまで寝てなさい」
『え…、待ってお母さ、!』
点滴打ってもらったはいいものの
相変わらず体調は優れなくて
学校を休んでいる
家にいたって看病という看病してくれるわけでもないし
わたしが体調悪い理由もご飯食べない理由も
眠れない理由も何も知らないから
良くなるわけ、ない
あの日から岩谷先輩の連絡は無視しちゃってる
ボロが出そうで返事できない
壱馬先輩がいないと
わたしこんなになっちゃうんだ
目を閉じたら壱馬先輩に包まれてたことを思い出す
自分で手放した温もり
壱馬先輩はもう隣にはいないんだ
いくら言い聞かせても心はわかってくれない
あの人が来るのも、嫌だ
本能が嫌ってる
壱馬先輩との仲を裂かれたってことだけじゃなくて
嫌な予感しかしない
眠れるわけがなく
ベッドの上でただぼーっと過ごしていたら
ノックもせずに本庄剛が入ってきた
『…っ、』
剛「あれ、寝てなかったのか」
反射的に顔を背ける
剛「年頃の娘は厄介だなあ〜」
ベッド脇にしゃがんで
ぺちぺち、とわたしの頬を軽く叩いた
『さわ、んないで…!』
剛「…なに、川村壱馬と別れさせられたから俺のこと嫌いか」
『…それ以前の問題です』
剛「かわいかったのにやつれちゃって…。やる気にもなんねぇや」
『…?』
剛「壱馬先輩壱馬先輩って泣きながら助け呼ぶ姿見たいなぁって思ってたんだけど」
『なに、言って…』
剛「今の死んだみたいなお前じゃつまんねぇや」
『…、』
剛「川村壱馬と付き合ってた頃に犯してやれば良かったなぁ?」
『ひっ…!』
いきなりうなじに手を添えられて
一気に顔を近づけられる
体育祭のことを思い出した
見ず知らずの男の人に手を出されそうになったこと
あの時の恐怖と傷
壱馬先輩のおかげで癒えたはずなのに
体が固まって動かない
汚らしい唇が近づく
…嫌だ、絶対嫌だ
剛「…っ、てめぇ…!」
『い…っ!!』
頭で考えるより先に体が動いていた
力は弱かったものの
本庄剛の顔に頭突きして
力が緩んだ所を見て離れる
部屋から出ようとドアノブに手をかけたら
後ろからものすごい力で押されて
その拍子に開いたドアの外に倒れ込んだ
痛みと体調不良のせいでクラクラする
階段下の玄関で
インターホンが鳴るのが聞こえた
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北人すきぴ - 更新まってました!!! (2019年9月9日 18時) (レス) id: cb30df2db6 (このIDを非表示/違反報告)
Ari - 最高ー!!! (2019年9月9日 8時) (レス) id: 951d2b0c9b (このIDを非表示/違反報告)
彩夏(プロフ) - 楽しみに待ってました。更新ありがとうございます。 (2019年9月7日 20時) (レス) id: c3b198d50f (このIDを非表示/違反報告)
はまはま(プロフ) - 先週更新なくて落ち込んでたら今日やったと!!待ってましたよ〜!!先週しなかったから今日大量に…とかないですよね笑笑 (2019年9月7日 20時) (レス) id: 702b4d3b89 (このIDを非表示/違反報告)
くるくる - あぁぁぁぁぁ!!! 大好き。 (2019年9月7日 20時) (レス) id: 0cf3778fb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れもん | 作成日時:2019年7月14日 21時