角砂糖に溶ける夢２【北×樹】

ぎゅっ、 ページ10

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北｢落ち着いた？｣


『う、ん…』


北｢飲める？ココアだよ｣


『ありがと、』






…そうだ
わたしはコーヒーなんて飲めない
ココアが好きなんだ

ひと口飲んで、ほっとする
見慣れた部屋
落ち着く香り






北｢…Aの話、聞きたいんだけどさ｣


『うん、？』


北｢これ…なに？｣






す…、と大きい手がわたしの首筋に触れた
そこは…さっき樹くんに噛まれたとこだ
跡残ってたんだ

もう…どこまでも最悪、






『これ、は…』


北｢…話せないの？｣


『あっ、違うの…。えっと、』


北｢…いつからそんなに悪い子になっちゃったの？｣


『え…、ほっく、！？』






首筋にあった手がうなじを掴んで
ほっくんの唇が噛み付かれた所に触れた

ふわ…と柔らかい髪の毛がくすぐったい
ちゅっ、とリップ音が耳に流れ込んでくる
恥ずかしい、変な、感じ…っ

樹くんに噛まれた場所と同じ場所を
優しくほっくんにも噛まれた






北｢…痛かった？｣


『えっ…』


北｢あいつに…噛まれたんでしょ｣






あ…、樹くんの方か…

って、あれ
な、んで…わかって、






北｢Aが幸せならいいんだけど｣


『ほっくん、？』


北｢今のA見てたらそうは思えない｣


『…、』


北｢おれのとこ…戻っておいで？｣






胸の奥が痛いほど締めつけられた

それはきっと、初めて見る表情だったから
切なくて、悲しくて、何かを我慢してるような
そんな…表情






『ほっくん…』


北｢…ん？｣


『ごめん、なさい』






何に対しての謝罪なのか、わからなかったけど
流れるように自然に口に出た

ほっくんは目尻を下げて笑って
ぽんぽん、って頭に触れた






北｢おれも、ごめん。さっきこわがらせて｣


『さっき？』


北｢噛んじゃったから｣


『あ、これ…。ううん、ほっくんだからこわくなかったよ』


北｢…っ、！…そういうの、だめなんだって｣


『ほっくん…？』


北｢…ねぇ、ちょっとだけ、ぎゅってしていい？｣


『へっ…』


北｢ちょっと、だけ｣






今までこんな風に聞かずに
ぎゅってしてたのに

い、いきなりどうしたんだろ…






『い、いですよ…』


北｢…んふふ、ありがと｣






ぎゅっ、ってされたら
ほっくんの体温と心音が伝わってきて
言いようのない安堵感が生まれた






『…あったかい』


北｢…だから、そういうのだめだって、｣






困ったように笑うほっくんは
何だかいつもより大人っぽかった




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