角砂糖に溶ける夢２【北×樹】

狼 ページ8

.




凪さんに メイク治しておいで って言われて
化粧室に来た

そこに入ってきた3人の先輩女社員
わたしがいることに気付かずに
ほっくんの話を始めた






＊｢ねぇ、吉野くん、最近篠崎さんと一緒にいないの知ってる？｣

＊｢知ってる！別れたかな｣

＊｢付き合ってなかったから喧嘩とか？それか篠崎さんに男できたかじゃない？｣

＊｢吉野くんは彼女いないっぽいもんね〜｣

＊｢あんなにかっこいいのにね。今ならご飯誘っても来てくれるかな｣

＊｢えぇ、ずるい！わたしも行きたい｣

＊｢何なら玲於くん、吉野くん、樹くんと行きたくない？｣

＊｢3人でちょうどいいしね！玲於くんに言えば行けそう〜！｣






あはは〜！って高い声で笑いながら出て行った

…ほっくんも樹くんも
わたしが一緒にいていいような人じゃないのはわかってる

どうしてわたしみたいな人の周りに
素敵な人が集まってしまうんだろう

樹くんは…今ならやめられる？
まだ気づいたばかりのこの気持ちを
今なら消せる？

今日、樹くんに話そう
勘違いだったみたい、って
樹くんのこと…もしかしたら傷つけるかもしれないけど
わたしじゃなくても
樹くんなら彼女選び放題だろうから

…うん、頑張ろう


仕事を終え、樹くんと帰り
部屋の前で また明日 ってしようとして
勇気出して樹くんの腕を掴んだ






樹｢…どうしたの？｣


『あの、お話が…あって』






あの時ぶりに樹くんの部屋に入った
この土日に家具が届いたのか
殺風景だった部屋は茶系でまとめられた
おしゃれな落ち着いた雰囲気の部屋になっていた

ラグの上に座ってたら
樹くんがコーヒーをつくって持ってきてくれた
コーヒーが入ったマグカップと籠に入った角砂糖






樹｢自分で好きなだけいれてみなよ｣


『…この前何個だったっけ？』


樹｢3つ｣


『とりあえず3つ…』






コーヒーの中で溶ける角砂糖
苦味と甘味が混ざる瞬間

香りは…苦い

スプーンで混ぜながら
話さなきゃいけないことを整理して
樹くんを見る

思わず息を飲んだ
またテーブルに頬杖をついて
柔らかい瞳でわたしを見てた

…これに、弱いんだ






『あの、ね…樹くん』


樹｢うん｣


『わたし…恋愛とか、向いてないみたいで』


樹｢…｣


『できれば…樹くんと、普通にお喋りしたりする関係に戻りたいな…って、』






あ…、瞳が変わった
柔らかさなんてどこかに消えて
獲物を狙うみたいな、
例えるなら、狼みたいな…瞳




.

会いたい→←捨てる覚悟

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す