角砂糖に溶ける夢２【北×樹】

捨ててまで ページ38

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タクシーを降りて、玲於さんに電話をした
ほっくんがいる病室を聞いて急いで向かう

濡れた髪が冷たい

でも、そんなことより
今はほっくんに会いたい

ガラ！と勢いよく病室のドアを開けたら
談笑してるほっくんと玲於さんの姿があった






『え…？』


北｢A、なんでそんなに濡れてんの！？ちょっとこっち来て、拭いてあげるから｣


玲｢Aちゃん来たなら俺は帰ろっかな｣


『あ、の…ちょっと待ってください…。ほっくん、なんで病院に…』


玲｢え？雨のせいで階段ですっ転んで頭打って意識失ったから検査するため。あれ、俺さっき説明したよね？｣


北｢心配かけてごめん。特になんともなかったんだけど、一応明日まで入院だってさー｣


『な、んだ…』






ほっとした瞬間、床に崩れ落ちる
玲於さんが 大丈夫！？ と来てくれたけど力が入らない

ほっくんが目の前にいる

涙が出るのは簡単で
ほっくんを見ながらぽろぽろと涙を流した

ほっくんも玲於さんも
突然のわたしの涙にあたふた






北｢Aどうしたの、｣


『…ひっ、く』


玲｢…安心したんだろ。Aちゃん、立てる？ほくちゃんの隣行こ｣






玲於さんに支えられながら
ベッドの横にあった椅子に座った

玲於さんは帰って
病室にふたりきり

時折嗚咽を漏らしながら泣くわたしに
どうしていいかわからないという顔をして見つめるほっくん

念の為、なのかもしれないけど
頭に包帯を巻くほっくんの姿を見ると悲しくなってくる






北｢もう〜…、いつまで泣いてんだよ。目腫れちゃうから泣き止んで｣






ぎこちない動きで
乾き始めてる髪をゆっくりゆっくり撫でる

冷たさを感じてた頭に
ほっくんの体温が伝わってきて
じんわり心まで温かくなる

…ほっくんに何かあったんだって思ったら
何も考えられなくなった

ほっくんがいなくなる
そんな最悪のことさえ考えて
勝手に悲しくなって落ち込んで
そんなの絶対嫌だって心が叫んでた

…無理だ
長い時間をほっくんと過ごしてきた
ほっくんがいない人生なんて考えられない

わたしに必要な大切な存在






『…ばか』


北｢あ、え…、怒ってる？｣


『…階段で転ぶなんて信じられない』


北｢ほんと恥ずかしい…。プレゼン成功したから浮かれてた｣


『成功した、の？』


北｢あ、うん！Aが頑張れって言ってくれたからだよ｣






ほっくんを捨ててまで欲しいものなんて…わたしにはない




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