角砂糖に溶ける夢２【北×樹】

これしかないから ページ21

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ぶーぶー言いながらもしっかり写真撮ってくれて
時には 俺も なんてちょっと甘えてきたりしてほっくんに怒られて
さっきのことが嘘みたいに樹くんは笑ってる

…なんだったんだろう
恋愛にいい思い出ないのかな
その割に積極的な気がするけど、

写真撮って
お腹も休まったところでアトラクションに乗りつつ
射的とか、ちょっとしたゲームもやって
あっという間に夕焼け空になっていた






北｢まだ乗ってないのあるのになー｣


『でも、すっごい楽しかった！』


北｢ね！最後は観覧車かな｣


樹｢中学生ですか…｣


北｢そんなこと言うなら樹は乗らないでいいですー。Aと2人で乗ってくるからねーだ！｣


樹｢…俺も乗ります｣






2人のやり取りに笑みを浮かべつつ
観覧車に向かった

待ってる間、隣はおれ、俺です って言い合いしてて
頂上に着くまでが樹くん
頂上から終わりまでがほっくんになった

改めて考えたらすごい絵面だよね…
取り合われてるみたい
ふふ、ちょっとだけドラマの主人公になった気分






樹｢Aさん、乗る時気をつけて｣


『ありがと』


北｢あ、手…｣






乗り込む時に樹くんが先に行き
手を差し出された
ほっくんに繋がれてた手を離し、樹くんの手をとったら
後ろからほっくんの寂しそうな声が聞こえてきた

ちく、と胸が痛む
ほっくんの優しさを手放してしまったみたいで

観覧車に乗ってからほっくんを見たら
変わらぬ笑顔で 楽しみだね って言うから
そうだね としか返せなかった






北｢A、見て！おれらのマンションあっちかな｣


樹｢こっから見えないですよ｣


『見えるかもしれないじゃん〜』






ほっくんが見てる側の景色は
樹くん越しにしか見えなかったから
どうしても樹くんに近づくしかない

場所代わってよ ってお願いしたのに
やだ っていじわるされた

だから仕返しじゃないけど
景色見るためにグイグイ押してやった






樹｢わざと押さないでください｣


『違いますー』


樹｢…あ、北人さん。あれ、俺らのマンションじゃないですか？｣


北｢え、どれ？｣






樹くんはほっくんの後ろ側を指さす
たぶんほっくんの視界からわたしたちは消えた

その一瞬の隙に
樹くんはわたしの唇を奪った

ほんの一瞬
たったそれだけで
わたしの胸が 好き でいっぱいになる






樹｢俺には…これしかないから、｣


北｢どれだか分かんな…ちょっ、樹近すぎ！｣






…これしかないからって
どういう意味？




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