角砂糖に溶ける夢【北×樹】

渡さない ページ33

北人side.




…やっちゃった
暴走しすぎた、

目を閉じたら、顔を真っ赤にして
瞳を潤ませておれを見てくるAの顔が浮かんでくる

キスは…できなかったけど、
Aが腰抜かしちゃって
急におれの前からいなくなった

下見たら座り込んでて
｢力入んない…｣って

かわいすぎたんだけど
ちょっとやりすぎちゃったな、って

今までずっと、Aに近づく男は
おれが排除…って言ったら言葉悪いけど…
Aから遠ざけてきたから
普通の女の子がしてきたであろう経験はしてない

いつかはおれがAの全部の初めては貰うって決めてたし
Aは鈍感なとこがあるから好きとかそういう感情に疎いから






北｢油断してたな…｣






まさか樹に…奪われるとは

みんな大体おれに遠慮してくるのに
樹は遠慮なんて言葉知らないんじゃないかってぐらい
グイグイAに迫ってく

どうしようかな…
そろそろ、甘いこと言ってられないか






『ほっく〜ん…？』


北｢んー？｣


『お風呂、ありがと』


北｢うん。おれも入ってこよ｣






おれがあんなことしたのに
いつも通りご飯作ってくれたり
おれの家で風呂入って行ったりしてくれるAはすごいと思う

ちょっとだけ…意識されてないのかもって
へこむけど

Aの横を通って風呂場に行こうとしたら
袖をぎゅっと握られた






『あの！』


北｢うん？｣


『あの…ここ、いつもよりちゃんと洗ったんだけど…』


北｢…え？｣






少し恥ずかしそうに唇を触って
おれを見てくる

う、そ…
おれが洗って、消毒する、消すとか言ったから？






『消えた、のかな…。よくわかんないんだけど、』


北｢…ふっ、あはは！｣


『…なんで笑うの』


北｢いや…、素直だなぁって。Aだなぁって思って｣


『ほっくんが言ったんじゃん！』


北｢そうだけどさぁ〜笑｣


『もうほっくんの言うこと聞かない、』


北｢いーやーだ。ごめんて、やだよ｣


『だって笑うもん』


北｢それはかわいいから｣


『なにがかわいいの！』


北｢おれに素直で、いつも何だかんだほっくんほっくん〜ってついてきてくれるとこ。好き｣


『…ふーん』


北｢あれ、照れてる｣


『照れてない、早くお風呂行ってきなさい！』






仕事してる時とは大違いな子どもみたいな表情
拗ねるAもかわいくて
こんな顔見れるのはおれだけでいい、とか思って

…樹には、絶対渡さない




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