角砂糖に溶ける夢【北×樹】 (ページ31)

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事故ページ31

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申し訳ない、もっと携帯見る癖つけなきゃ…

ほっくんは落ち込むわたしを樹くんから見えないように
自分の背後に隠した

樹｢じゃあ…コソコソするのやめます｣

コソコソ…？
なんだろう、とほっくんの背中から顔を出したのが間違いだった

空いていた手を引かれ、ほっくんより1歩前に出される
それはほんの一瞬の出来事で
頭で理解するのにだいぶ時間がかかってしまった

綺麗な樹くんの顔が近づいて…離れた

北｢は…っ！？｣

今、わかるのは
唇に残る甘い余韻

樹｢俺、Aさんが欲しいです。俺のものになって｣

な、に…？

北｢ま、じで…っ！樹嫌い！！会社来んな！バカアホドジ！！！｣

樹｢小学生ですか…｣

北｢A、早くこっち！理性効かない方が小学生だっつーの！｣

勢いよくドアが閉められ、樹くんは見えなくなった
頭の中がぐちゃぐちゃだ
今のは、一体…なに？

北｢靴脱いで！早く洗面所行って洗お！！｣

靴を脱いで、洗面所へ
水を出したほっくんを見て浮かんだ疑問

洗う、って…どこを？
え、わたし…なんか汚れた？

『ほっ…くん、待って。洗うって…』

北｢くち！唇！！樹の菌が…！｣

『…菌？』

北｢そうだよ！あいついきなりキスなんかしてなんのつもりだよ…｣

そっか、わたし樹くんにキスされたんだ
だからほっくんは洗おうとして…
なんだ、そっか
そんなことか

そっか、樹くんと…

『……え？』

北｢…え？あ、ちょっと顔赤くしないで。メンタルくるから｣

『ちょ、ちょっ…ほっくん、どっ…どうし、』

だって、待って
わたしのファーストキス、

あんな簡単に終わったの？
あんな一瞬で奪われたの？

うそだ、信じられない

北｢落ち着いて、大丈夫。あんなのキスじゃない。当たっただけ。事故、ただの事故｣

『じ、こ…』

北｢あぁ～…っ、もう、こんなことになるならおれがAにキスしとけばよかった…｣

『…え？』

北｢最悪だ…、何なら今からでも上書きしたい…｣

『ほっくん、？』

北｢あ…、やっ…！待って、今のなし！ごめん、びっくりして変なこと…！｣

『ほっくんとキス…』

北｢…引いてない？｣

『…全然、そんな風に思うまで心配してくれてうれしい。ありがとう』

北｢…心配してるわけじゃねぇし、｣

ほっくんの呟きは、小さくてよく聞こえなかった

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